人は何で孤独を懼れるのか、分かります? この世の何よりも恐ろしいのが、“自分自身”だからですよ
ミオとカズヤのふたりで過ごした夏休みが終わり、新学期が始まった。想いを深め、互いを知っていくための歩みを少しずつ進めながら。ひととは違う生を背負わされたミオ、それを理解したくても、彼女を傷つけることを恐れ問いかけられないカズヤ。そんなふたりの前に現れたのは、葛峰聖、昂という姉弟。そして、聖の瞳は、かつての西田貴流と同じ光をたたえていた。
ぐは、まさか続き物になっていたとは!
続刊を待たなければこの消化不良感は消えない。というか、なんというところで続いてしまうのか。
第1作の続編ということで、距離を縮めてハタ目からはバカップル化したミオとカズヤの恋人らしいやりとりが照れ照れ。というか、カズヤの妹の良雨がいい味出しています。こんなのほほんとした日常が続いていくかと思ったら、ミオと同じ事情を抱えた葛峰姉弟の登場で、ふたりの関係にちょっとした歪みが生じていって。
前作で描かれていた、確固たる自分というものの実在を確信できないミオは、かつての事件で大きく変わっていて、けれど、その変化を気付けなかったカズヤの余計な気遣いが、今回の事件の原因でもあります。聖の言動やカズヤへの態度などは、この事態を導こうとした意図的なものなのか、あるいは彼女たちの絶望を打破するためのきっかけとなるような希望の表れだったのか、それが語られるのは次巻になるのかな?
B.R.A.I.N.complex の犠牲者となったミオたちの物語と、カズヤのこれからの物語が否応なしに交わってしまった今回のお話。自らの傷をさらけ出しても理解し合いたいと願ったミオの心は、今のカズヤには理解できないかもしれないけれど、これから彼の身に起きる出来事は、ふたりの絆を試す試練となるのか、引き裂く楔となるのか。重い気持ちになりますが、待たざるを得ませんね。
hReview by ゆーいち , 2008/05/18
- カッティング3~Case of Mio Entanglement~ (HJ文庫 は 1-1-3)
- 翅田大介 も
- ホビージャパン 2008-05-01
コメント