死神のキョウ

2008年12月2日

stars はじめまして、死神です。あなたのことを守りにきました

木に登った猫を助けようとしたら、その木がぶった斬られた。黒いマントを羽織り、日本刀をその手に携え、瞳を金色に輝かせた少女は宙に浮いたまま笠倉恭也に告げた。「あなたのことを守りにきました」 死神を名乗る彼女は、恭也を守るためと言い、彼の家に押しかけ共同生活が始まる。何かにつけて無闇矢鱈に刀で斬りつけられ痛めつけられる、けれどドタバタした新しい日常の始まり。恭也は死神の役目が何であるのかを深く考えず、その日常を受け入れていく。そして……。

バイク窃盗犯を追いかけて返り討ちになったことまでネタにされてしまう魁氏のラノベデビュー作。どちらかというと、私はCLANNADよりALMAのひとという印象ががが。

まぁ、それはともかく、楽しい作品でした。中盤まで。いかにもなギャルゲ展開で、ラブコメしていくかと思ったら、とある事件から一気にヘヴィな方向へ物語が転がるものだからどうしたものかと。落差が激しくて戸惑いつつも、なんだか綺麗に収まってしまってますね。いや、良かったんだけど。

てなことで、露骨にテンプレなツンデレを演じる死神のキョウとか、義妹な従姉キャラの小桃とかなんだか腐りかけてる感じの委員長・命とか、BL路線に突入したらどうしようかという親友・克己らと繰り広げられたドタバタな日常。どのエピソードもどっかで見たことあるような展開ながらも、見せ方が上手いのかにやけてしまって困ります。こういう路線で最後まで行くかと思ったら……なんだもんなぁ。

日常の描写がやたらと楽しくて、その分、終盤の急展開が本当に急展開に感じてしまい、ちょっと語り足りない部分もあるかなとも思いつつ、楽しめた作品でした。こういう路線なら、今後も読んでみたいですね。

hReview by ゆーいち , 2008/05/24