もう、逃げ出しちゃいけない! 前に踏み出さないといけないんだ!
“極限”を用い世界をその異能で満たすために動き出した“女神”。その正体を透真は知る。母・操の豹変と、女神の関係は、統堂の家に連綿と受け継がれた呪いそのもの。その事実に打ちのめされ、諦念に支配される透真。そして、“神の手”により手痛い敗北を喫したカタナも、自らの運命に絶望し、透真に「さよなら」と告げ、どこへともなく去っていって……。
ううう、恥ずかしすぎる。
なんだこの直球ど真ん中の痛々しいお話は。いちいち、熱くて、臆面もなく正義の味方を自称する主人公って、今見るとちょっと恥ずかしくて、どうしても生暖かい見方しかできなくなってしまう。
にしても、これまでとことん悪役として描かれてきた母親・操の変心ぶりが、その実は“女神”という存在によってのものだというのは、救いをちらつかせすぎかなあ。1巻のラストの展開がインパクト強かっただけに、とにかくダウナーな展開で突き進むかと思っていたんですが。
そして、敵方に情を抱かせるようなこれ見よがしな救われない過去話は、語られるタイミングが悪すぎるなあ。何を信じて、何を救って、何を切り捨てるのか、様々な人物から選択を突きつけられつつもなあなあで切り抜けてきてますが、う~ん。あと、微妙に背徳な雰囲気を持ち込もうとしてますが、語りがアレすぎてギャグにしか見えないというのはマイナスじゃないかなあ……。
そして、終わり方がジャンプの打ち切りっぽいんですが、続くんですよね、これ? まぁ、あと1冊あれば完結させられそうですが。
hReview by ゆーいち , 2008/06/08
- 繰り世界のエトランジェ 第三幕 女神のエディット (角川スニーカー文庫 202-3)
- 赤月 黎
- 角川グループパブリッシング 2008-06-01
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