SHI-NO-シノ-空色の未来図

2013年4月18日

stars 問題は誰が嘘を吐いているかじゃない。誰が、どれだけの嘘を吐いているか、である。

実家へと帰省した僕は年賀状の中に忘れもしない名前を見つけた。大薙詩葉。高校時代の僕の彼女、そして、今はもういない彼女からの年賀状を。帰省前に届けられた詩葉からの手紙には「お願いを聞いてください」そんな言葉が記されていて。そして、僕は彼女の死と向き合うために、彼女との思い出に区切りを付けるために、故郷に戻ってきていた。

僕のスペックがいきなり跳ね上がった感じがしますが、これは主人公補正? あるいは、志乃がいなければ意外にできる男なのかも?

そんなこんなで、僕の過去の一端が明かされるお話。彼女持ちだったとは意外ではありますが、しかし、大学生活初めて志乃との関わりの中で巻き込まれた事件も半端でないですが、高校時代もバカにならない波乱の生活を送っていたんじゃないのかと。

詩葉という少女の存在は、作中で語られているように、すでに常人の枠をはみ出て、ずいぶんと万能感のある存在に昇華されているように思います。というか、これは作者の代弁的に受け取ってしまうなあ、未来を確定させる言葉、希望を捨てないための願いの言葉、彼女の予言が事実となるのならば、それは救いのもたらしを意味するのですが、しかし、これから僕と志乃が向き合う、ふたりの出会いの物語はすでに起こってしまった出来事。そこから、ふたりがどう歩んでいくのか、また別の答えを見いだすことができるのでしょうかね?

僕が故郷で詩葉と決別するためにあらゆるものと戦った事実は、彼にとってまたしても苦い記憶となるのかもしれませんね。けれど、小さな幸せを願い、それを叶えるために皆が想いをひとつにし、実現させた、それだけは変えられない事実としてまた思い出に変わるはず。

さてさて、僕と志乃、ふたりが歩んでいく未来は果たして何色で描かれるのか。次は激動のエピソードが控えていますね。

hReview by ゆーいち , 2008/08/02