……平和でいいなあ……ずっとこのまんま時間が過ぎればいいのに……。
中国から一見親子連れに見えるふたりが日本を訪れた。玄亮、趙蒼と名乗るふたりは、大戦期に作られた人型兵器・
ん~、なんか番外編ぽいエピソードだけれど、それを言うなら前巻のエピソードもまた本筋のストーリーからは外れてると言っていいのかも? 次巻以降は大きな流れが生まれているだけに、このエピソードを境に、優樹と太一朗の関係が大きく変わっていく直前の、刹那のような平穏を描いているとも言えるのかもしれませんね。
物語的には救いがないなあ。欠陥兵器とされた趙蒼こと哪吒零番の暴走は、誰も彼もを不幸にして、そして自分自身すら亡くしてしまうという最悪に近い展開。
優樹自身の体調不良も、哪吒の上陸によって生まれたという事実も分からないまま、優樹と哪吒は出会い、明確な理由もなく命の取り合いをしてしまう。優樹自身が闘う理由を見つけられず、そして、哪吒も自我をなくし根本に埋め込まれたプログラムに従って破壊活動を行うだけというのは、両者にとってまさに無益な闘いだったなあと。
そんなふたりの運命が交わったのはごくごく短い時間で、それまで別の場所で、曲がりなりにも平穏と呼べるような日常を送っていたのに、崩れるときはあっという間なのが、この物語らしいですね。
hReview by ゆーいち , 2008/11/23

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