可能性を信じて抗うか、現実を受け入れて諦めるか。それは君次第だ。
晴れて恋人同士となった宗太とひなた。お互いに初めての“お付き合い”に嬉しくもあり戸惑いもあり。どうして良いか分からず、少しだけぎくしゃくするふたりの間の空気。そんな空気を吹き飛ばすかのように、体育祭実行委員の打ち上げ旅行の計画が持ち上がり、旅行の準備と初めてのお泊まり旅行に期待も高まっていって……。
くああ、こっ恥ずかしい~~!!
そりゃ、黒田さんでなくとも、この初々しいふたりの姿を見たら、いろいろ言いたくなるだろうなあ。と、そんな嬉し恥ずかし恋人生活のスタートなお話です。
けれど、やっぱり、かぐや姫であるひなたに対しては、接触を持とうとする勢力が消えることはなくて、今回登場した人物は、宗太たちの知らない真相にかなり近い場所にいて、敵対するわけでもなく、けれど手助けするわけでもない傍観者的立場で、ひなたの行く末を見届けようとします。
この辺、ムーンチャイルドとアルテミスコードにまつわる秘密の、まだ語られていない部分が関連しているようだけれど、その守人を任じているような上杉杏奈が何を守ろうとしているのか、そして、そもそもアルテミスコードとは何なのか、そんな物語の根幹に宗太たちが近づいているのも感じられますね。
今回のラストはまたなんとも夢のあるような、あるいは口をあんぐりと開けるような、突飛な終わり方でしたが、エウレカセブンの最終回とか微妙に思い出しましたね。全人類に自分の告白を晒されてしまった宗太は、次巻、強く生きていけるのか?(笑)
それはともかく、これまでは終盤、宗太の身近の人物が事件の黒幕だったりして、手痛い裏切りや、心を穿つような痛みを伴う別れを宗太にぶつけてくるのですが、今回は次の物語への繋ぎとなるようなお話だったのでしょうか? 初々しい恋の始まりと、どきどきするようなふたりだけの時間、そして、より強く結びついたふたりの絆というものを、今回のエピソードで描いておいて、その先に大きな試練が用意されているような気がしますね。
アルテミスコードを持つ人間として、もしかしたらはじめての行為を成し遂げたかもしれない宗太とひなたですが、その結果が、ひなたのかぐや姫としての運命に抗う武器となりうるのかどうか、それがこれからの展開の鍵となりそうですね。
……でも、やっぱり序盤のダダ甘な蜜月生活が良かったなあ。ひたすらいちゃいちゃしていてくれても、私は一向に構いませんよ? あと、今回の表紙はいろいろな意味で危険でしたね。帯が付いてればはいてないように見えるし、帯を外せば、ほら、なんか見えますよ? これは買うのに勇気が要りますね!
hReview by ゆーいち , 2009/01/13
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