オオカミさんと洗濯中の天女の羽衣

2009年1月19日

stars オレはお前が嫌いじゃない。……今はまだこれだけしか言えない。オレの気持ちもまとまってない。ただ、いつか……。

突然の雨に降られ、乙姫さんの厚意で、おおかみさんと亮士くんが駆け込んだのは……ホテル! 濡れ鼠になったふたりは交互にお風呂に入って。亮士くんにとっては、まさに夢のような展開、おおかみさんの心を覆っている嘘の毛皮も、少しずつ剥がれてきてますが、ふたりはいったいどうなってしまうのか……? 御伽銀行の女子たちの、めったに見られないベストショットも満載、さらには雪女さんの恋バナまで、な第7巻!

[tegaki]いいよいいよー。[/tegaki]

お話は進んでないけど、おおかみさんと亮士くんの関係はじっくりと進行していますね。ふたりのハッピーエンドへの道しるべがぼんやりと示された気がするお話でした。

内容的には、バカやったり、ほのぼのしたり、ドキドキさせられたりと、それぞれバリエーション豊かで、この世界の居心地の良さみたいなのまで伝わってきますね。

特に、雪女さんの恋バナ『おおかみさん雪女さんの恋話をみんなと聞く』なんて、今では豪放なキャラになってる雪女さんと、旦那さんの若人さんの馴れ初めを、女性陣が興味深く聞いてみたりするお話ですが、そんな彼女の素敵な恋のお話に、憧れマックスなおおかみさんは、心の中で亮士くんのことをどう考えていたんですかねえ?

続く『亮士くんスキルを駆使してわらしべ長者を目指すことになる』では、これまであまり見られなかった御伽銀行の女の子たちの笑顔を激写するために、スニーキングミッションに挑む亮士くん。いや、わかる、わかるぞ、その気持ち。あの柔らかで、自分だけに向けられた笑顔を手に入れるためなら、たとえ道を外れかけようともやらねばならないことがあるということを。でも、やっぱり最後に美味しいところを持っていくのはりんごさんなんですね。まぁ、他のキャラの素敵な笑顔も見られたし、なんとも眼福なお話でしたね。

そして、これが本命? な『おおかみさん羽衣落として毛皮もちょっと剥げる』がまたにやけてしまいますねえ。場所が場所だけに、ヘタすりゃ大人の階段数段飛ばしで登ってしまうこともあり得ますが、まぁこのふたりですからねえ。ドキドキな展開は、ここぞというときにヘタれてしまう亮士くんのおかげで、またおあずけ。むしろ、彼のほとばしる欲望の行方が気になりますが、それは皆の妄想の中に……。ああ、汚れてしまう(笑)

それはともかく、おおかみさんの方からも亮士くんに少しずつ心を預けてきている感じ。亮士くんはどんどん格好良くなってきてるし、おおかみさんは彼しか知らない乙女な部分を見せてきてますね。まだまだおおかみさんに頭の上がらない亮士くんですが、かつての雪女さんがそうだったように、大切な女の子を守るための男の戦いが用意されてそうなのは間違いないでしょうね。この作品の負の部分を請け負っている鬼ヶ島の動きがほとんど描かれてませんが、そことの因縁も、また新たな局面を迎えそうですね。

hReview by ゆーいち , 2009/01/18

オオカミさんと洗濯中の天女の羽衣

オオカミさんと洗濯中の天女の羽衣 (電撃文庫)
沖田 雅
アスキーメディアワークス 2009-01-07
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