ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!

2013年4月18日

stars やってみせる! たとえ、それがどれだけ荒唐無稽でも! 彼女たちの幸せのために俺は生きていく。今は答えが見つからないけど、それが責任や償いでもあるし、好きでいてくれている女の子たちへの俺からできるせめてもの御礼だ!

俺の元へ届いた一通の電子メール。ゲームのデータを元に世界を改変し、自らが主人公になれる。そんな胡散臭い内容が、まさか現実のものになるなんて。あこがれ、愛したゲーム『エターナル イノセンス』。翌朝、目を覚ました俺を起こしにやってきたのは、いるはずのない幼なじみ、ゲームのヒロインの一人だった! しかし、ゲームのシナリオ通りの生活を満喫できるかと思っていた俺だけれど、なぜかだんだんと物語は知らないものへと変わっていって……。

妄想具現化!!

ギャルゲーの世界が現実になったら、なんて妄想が本当になって、自分が主人公として物語に参加できたとしたら……。

攻略ルートも選択肢も全部知ってるから楽勝楽勝、と思いきや、現実にはメインキャラ・サブキャラ以外のその他大勢の人間によって、ヒロインたちの物語はねじ曲げられていって、さぁ大変。

あぁ、こういう攻略ヒロインが別ルートでどうなるかとな、そんな疑問の提示というのは、ずいぶん昔からなされていたわけで、個人的には懐かしい感じがしましたね。死ぬことを定められ、他のルートでは助からないヒロインの物語、それが現実にあったとしたらどうなんだ? みたいなある種究極の選択に対して、ゲームの主人公ならぬ、この物語の主人公がどう立ち向かうか、っていうのがメインテーマかな。周りのヒロインたちを誰も彼も不幸にしない、救ってみせる的な、これもある意味ギャルゲ主人公のテンプレ的な行動ですが、そこに『現実』であるというひと味を加えることで、また違った仕上がりになってるかな。

まぁ、こういう展開は、それこそ10年以上前から議論されていたり、それこそ二次創作ではありふれているような気もしますが、今どきのメインターゲット層にとってみては一周して斬新なのかも。作者はゲーム畑のひとらしいので、なるほど、その辺分かってる感じで語っているように思いました。

そういう意味では、この物語に共感できる部分は個人的には結構あったのですが、しかし、主人公の最後の選択はう~んと首をかしげたくなってしまいますね。てっきり、もう一方の選択をして、少し切ないラストになるかと思ったんですが、これは、彼が、彼だけの世界を現実の代わりに生きていくという決意なのかな。それは、また別の形の不幸な結末であるように思えるのですが……。

しかし、それはともかく、あの結末の後は、文字通りのハーレムルートが待っているかと思うとギギギ……! 18禁ゲームのファンディスクで世界を作ったら、『エロゲヱの世界よ、ようこそ!』じゃねーか!!

hReview by ゆーいち , 2009/02/08

ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!

ギャルゲヱの世界よ、ようこそ! (ファミ通文庫)
田尾 典丈
エンターブレイン 2009-01-30
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