WHITE ALBUM 第五頁「邪魔をするのが、近しい人間だけとは限らない。知らない人ほど、手厳しい」

このまま結ばれるかと思われた一夜は、由綺が眠ってしまうことで未遂に。惜しい? それとも助かった? 千載一遇のチャンスを不意にして夜が明けて。

由綺のマンションを出たところで待ち構えていたのは弥生さん。由綺のマネージャーとして、彼女をあらゆるスキャンダルから守らなければならない彼女は、かつての理奈のスキャンダルを引き合いに、由綺に少しでもそんな危険が及ばないように予防線を張り巡らせてきてますね。

自分の身体さえも囮にして、けれども決して自ら望みを口にしない。百戦錬磨じみた手練手管を感じてしまう策略ですね。「寂しいでしょう」と問われ、すぐさま否定できない冬弥の優柔不断さもいかがなことかと思うけど、ここで猛攻に出る弥生さんこそが恐ろしいですね。彼女の行動の根底には、由綺を守るという、ただそれだけのことしかないのに、だからこそ、の迷いのなさが異質に映ってしまいますね。

そんな冬弥の周囲には、またしてもトラブルの気配が忍び寄ってきてますね。病気から復帰した美咲さんが冬弥を頼って寄越した台本。由綺からかかってくると分かっているはずの電話を無視して、そっちに没頭して現実逃避。理奈からの電話より先にかかっきていたとしたら、また違った行動をしていたかもしれないのに、くどいくらいにお互いの行動がかみ合ってませんね。

そして、はるかをメッセンジャーに届けられた由綺からの伝言。今夜は眠らない、それはすなわち、あの日の続きを望む彼女の遠回しな告白であり、決意の表れのように思います。ここに至って、ようやく踏ん切りがついたのか、由綺の代わりになるひとなどいないなんて当たり前の結論に背を押されて、家を出ようとしたときに、また電話が鳴って……。

追い詰められた美咲さん。ここで頼るべき相手が冬弥ってところが、また彰にとっても救いのないことだし、冬弥にとっても最悪のタイミング。事情を語らずに、電話越しにただ嗚咽を漏らされるというのも、受ける方には選択の余地を削りまくるともすれば狡いやり方。

ここで由綺を選ばなければ、また決定的に何かが終わってしまうんだろうけれど、美咲さんの約束をすっぽかしたと思ってしまってる冬弥には、彼女の電話を無視することなんてできないんだろうな。そして、また距離が広がっていって、状況はいよいよ取り返しのつかない事態になりつつあるように思います。