――本物なんて、どこにもないんですよ。自分を裏返そうが、見つめ直そうが、そんな都合の良い本物なんか出てきません。
かつての英雄であり、自身の兄でもある九瀬諫也になりすまし御陵市で一年を送ることを余儀なくされたイザヤは、再び人類への脅威・<獣>と対峙することになる。そして生まれる疑念、路地裏で血に塗れ怪しく微笑む玻璃の姿、枢機卿代行・カルロの思惑、新たに赴任した新たな修道士の目的。様々な思惑に飲まれ、翻弄されるイザヤはその戦いの中で決意を抱く。
面白くなってきたよー。
偽物であることを隠し通し生きていかなければならないイザヤと、彼のパートナーであり彼の剣となり盾となるために生きる第九祭器・ノウェムの間に結ばれた絆がだんだんと強くなっていくのが感じられますね。イザヤ自身が自分の存在が偽物であることに後ろ暗い思いを抱いているかと思えば、ノウェムはそんなイザヤをこそ自分の最優先すべきひとであると定めている。誰にも必要とされていないはずの「イザヤ」を現時点で唯一真っ直ぐ見てくれるノウェムという存在のかけがえのなさを、また彼自身も気づいていく、そんなお話でしたね。
一方で、イザヤではなく諫也を慕う玻璃の変容もまた、今後の物語に大きな波を生みそうな要素ですね。彼女の中に在るもう一人の妖女の目的と思惑の元に結ばれたイザヤとの協力関係もまた、イザヤ自身の正体と同じように誰にも知られることのできない秘密で、玻璃自身も知らぬその関係の行く末もまた、玻璃の運命を大きく歪めていきそうな雰囲気です。
そして、偽物だろうと何だろうと、イザヤは自身の戦いを止めることはないんだろうなあ。何もかもを騙し、自分を偽って生きていこうと決めたはずのイザヤが、ノウェムとともに戦いを通して掴んだ彼だけの本物。断罪衣も使えない未完成の英雄ではなく、半人前でもイザヤ自身の戦いを全うしていくための覚悟が生まれたことが、これからの時間を後悔のないものに変えていくのかなと思います。
hReview by ゆーいち , 2009/03/14
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[現代異能バトル][ラノベ]イスカリオテ2
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