どれだけの血を流し、傷つこうと、俺は生きるしかない。安易な希望を拒否し、正しく絶望し、それでも前へ。
短編集の第2弾。雑誌掲載で文庫化されなかった未読の短編が4編もあるので、短編集とはいえ新鮮な気持ちで読めました。
全体的に救いのないエピソードが多いのはいつものことですが、それでもプロローグにあるガユスの独白をみると、打ちのめされていながらも、折れたままでいない、停滞して死ぬよりも苦しくてもとにかく歩き続けなければいけない、そんな前向きさの片鱗を感じ取れたり。
ガガガ版になって、致命的に彼の心を砕くあのエピソードがまだ発生してないというのが大きな原因なのかもしれないけれど、自棄になって朽ちていくのを待つだけだったかのような雰囲気が薄れているので思ったよりもすらすらと読めた感じですね。
まぁ、今後の長編の展開遺憾では、そんな甘ったれた気持ちなんてあっさりと泥にまみれて地に落ちてしまいそうな気もしますが、ここで描かれてる物語は、ガユスたちのあるいは平穏な日々の一こまの切り取りだったのかもしれないですね。
印象的なのは「雨にさらして」。意外な構成で終盤で種明かしされると驚きがありましたね。なんとなく、現在の業界の状況を皮肉ってる感じがしますが、それがまた浅井ラボらしい描写。ヒーローが大活躍して大団円を迎える物語も、学園で美少女に囲まれキャッキャウフフするお話も、あるいは現実と同じく甘さもユルさもない、厳しい物語だって、楽しめるひとは今は多いんじゃないのかなあ。
あと、黒ジヴは今回も猛威を振るってますね。これが輝かしい過去の記憶になるのか、これからも続いていく関係の途上にあるものなのか、はたしてどちらになるんでしょうか。
hReview by ゆーいち , 2009/04/25
- されど罪人は竜と踊る 6 (ガガガ文庫)
- 浅井 ラボ
- 小学館 2009-04-18
- Amazon | bk1
コメント
コメント一覧 (2件)
されど罪人は竜と踊る6巻〜As Long As I Fall〜の感想レビュー(ライトノベル)
ガガガ文庫のラノベ、『されど罪人は竜と踊る6〜As Long As I Fall〜』(浅井ラボ先生原作、宮城先生イラスト)が発売中です。
表紙はガユス&ギギナの主人公コ…
されど罪人は竜と踊る⑥ As Long As I Fall
著:浅井 ラボ イラスト:宮城
「ギギナ、直立歩行する糞と話す気分を知っているか?」
「今の気分だが?」
約四ヵ月三週間の積み。二ヶ月振りの新刊。やべー、放ったらかし過ぎた