そう、降りかかる火の粉は払わなければならない。俺に降りかかる火の粉じゃなく、ユーやハルナに降りかかる火の粉を。
ゾンビとして生きる相川歩の同居人は魔装少女にネクロマンサーに吸血忍者。賑やかにして、世界を守る戦いを繰り広げる毎日に、新たな人物が加わってきた。吸血忍者・セラと敵対する派閥の少女・友紀。ものの弾みで友紀とキスしてしまった歩は、今度は彼女から嫁になると迫られて……。大量発生するメガロ、ハルナの大先生からの預かりものと次々にやってくるトラブルを、果たして乗り切ることができるのか!?
1巻のカオスな雰囲気を引き継いだまま、物語の流れが割と整理されて一本線で進んでいった印象の第2巻。前巻のようなインパクトがないのはアレですね、歩の魔装少女のコスプレという精神的ブラクラなイラストが存在しないからに違いない! ……いや、2回見たいわけではないので女の子たっぷりのイラストはひゃっほうなんですが。
にしても、この物語、ハルナと歩を中心にお話が回ると思ったら、現時点ではその周囲の人物たちが主導で引っ張ってる感じですね。今回は吸血忍者たちの事情と、ネクロマンサーで万能な存在であるユーの事情が絡み合っての大事件が第一にあったような感じです。
未だに自分の力を取り戻せないハルナと、彼女の代わりに戦う歩の構図は変わってないんですが、ハルナが前線に立って戦うよりも歩の力を頼りにするという気持ちを抱いたのかどうなのか、彼への信頼を少しずつ募らせているのは分かりますが、逆に彼女の立場がどんどんと弱くなっていっているような。なんだかハルナひとり蚊帳の外においておかれたまま、事件が起こって、次巻へ続いていってませんかね。まぁ、この流れからすると、次こそはハルナにも見せ場がやってきそうな雰囲気ですが。
そして、ハルナにしろ、ユーにしろ、セラにしろ、その内に秘めた力の大きさに反するような心の弱さを抱えてるように見えますね。戦う事への恐れだったり、自分の力が他者を不幸にすることへの恐れだったり。そんな彼女たちが、大きな力を振るうこと、それを支えるだけの意志の強さというものを得るためのきっかけとしての歩との共同生活と共闘なら、彼女たちが傷つく代わりに痛みを請け負う彼の姿を見て、また三人の少女たちも何かを得ていくのでしょうか。
現状、ヒロイン的なポジションにいて、歩やハルナ、セラたちとの繋がりが一番太そうなユーがあんな感じで去ってしまったラスト。仲間を、家族を取り戻すために相手の気持ちなどお構いなしに突き進むと決めた歩たちがどんな快進撃を見せてくれるのかに期待ですね。……てかユーの願い事に少ししんみりさせられてしまったい! くそう、そんな湿っぽい話じゃないだろう、もっと痛快にバカをやってくれー。
hReview by ゆーいち , 2009/06/13
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更新したよ! : これはゾンビですか?2 そう、私は死を呼ぶもの https://www.u-1.net/2009/06/14/1805/
これはゾンビですか?2巻~そう、私は死を呼ぶもの~の感想レビュー(ライトノベル)…
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