……竜太さんは鈍感だから。ちっとも気づいてくれないから――だから、ほかに解釈のしようがない言い方をします。
夏休み明けの学校では、文化祭の準備がはじまった。僕のクラスではカレー(千紗の希望)とケーキ(なぜか、魚住さんの希望)をセットで出すことに。そこまではまあいいんだけど、魚住さんが「リンドヴルムを招待したいのです」と言い出した! ちょ、待っ! 何企んでるの!? ただでさえ龍造寺さんに猛アタックされてて頭が痛いんですけど、そのうえ千紗とありすまで――!? 僕はいったい、どうすればいいんでしょうか。いままでどおり、みんなで一緒にいたいだけじゃダメなのかな? ――ついに多角関係に決着が!? 辛口甘口とりまぜて、世界征服ラブコメディ第5弾!
[tegaki font=”poptai.ttf” color=”Salmon” strokesize1=”4″ strokecolor2=”Salmon” strokesize2=”4″]これからもずっと世界征服!![/tegaki]
竜太を巡る恋のバトルは激化の一方。龍造寺さんの参戦で焦りまくった千紗とありすの積極果敢な猛攻にたじたじの竜太。くそう、うらやましいヤツめ。まぁ、そんな流れで盛り上がりつつ、学校イベントでも最大の文化祭を間近に控えて、デーモンテイルの活動だけでなく、本業の方も手を抜けません。ハイレベルな料理スキルを遺憾なく発揮する竜太は、もう十分主夫としてやっていけるよ! 悪の組織の幹部より平和な人生があるよ! と思いつつも、彼がいるべき場所はやっぱりあの場所なんですよね。
1巻から引きずってきた阿久津親子との因縁も、結局今回のラストバトルまで続いちゃいましたね。まぁ、真のラスボスはその後に控えていた彼女ではあったんですが、ほのぼのな雰囲気とはかけ離れた、わりと殺伐としたバトルが違和感だったんですよねえ。まぁ、感じとしては最大にして最後の敵、みたいな感じで挑んできたから、彼らが敗退した後、もはやデーモンテイルの覇道を阻む存在などありはしないような気がしますね(笑) ただまあ、敵方としてあっても、どうにもならないような圧倒感や脅威は感じなかったあたり、この作品らしいといえばらしいのですが。デーモンテイルの面々だけでなく、他のキャラの見せ場もそれなりに用意されているあたり、最終巻らしい大盤振る舞いでしたね。
――ふとしたことから悪の秘密結社に強引に引き込まれ、挙げ句の果てに改造され、幹部となってしまった竜太のドタバタの物語はこれにていったん完結。後日談的に語られる、ずっと未来のお話は、おい! とツッコミを入れてしまいたくなるようなトンデモな展開でしたが、手近なところから征服を始め、悪とは名ばかりのほのぼのな感じで進めていった活動が、あのような形で実を結ぶとは、それこそ誰もが予想しなかったでしょう。
恋の決着は結局付かず、棚上げになりましたが、ゆるーい感じでまったりと悪さを働くデーモンテイルの面々が、これからも仲良くじゃれ合い、ときには竜太を巡って恋のさや当てを行うような様がありありと浮かぶようですね。もうちょっと、作中で恋バナを展開して欲しかったなと思いつつ、この作品らしい大団円にまずはおめでとう、ですね。
hReview by ゆーいち , 2010/04/12
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