ハイスクールD×D 5 冥界合宿のヘルキャット

stars ふざけんなッ! 右と左が同じわけねぇだろォォォォォッ! 大切なんだよ! 俺のファーストブザーなんだぞ! 人生かかってんだ! 真面目に答えろォォォォッ!

夏っ! 兵藤一誠、人生で一度しかない高2の夏休みです!
悪友たちとの約束を蹴りとばし、やって来ました“冥界”に。
部長やアーシア、朱乃さんたちとうれし恥ずかしヴァケーション―のはずだったのに…なんでオレはこんな山の中で、ドラゴンに追いかけられて死にかけてるんだっ!?
脳裏に浮かぶ走馬灯。そういや小猫ちゃんの様子がおかしかったなあ、気になる。なーんて考えていたら、当の小猫ちゃんが倒れちゃったり、ネコ耳だったり。どーなる、オレの夏休みっ!
熱血とサバイバル魂と筋肉と煩悩で贈る、学園ラブコメバトルファンタジー疾走。

[tegaki font="mincho.ttf"]やってきました、大冥界![/tegaki]

バトルもの定番の展開、それは、パワーアップ!

このシリーズでも、主人公を始め、各者のパワーアップが様々に描かれてきましたが、今回の一誠のパワーアップは史上まれに見るアレな感じで大笑いですね。

夏休みに合宿で連れてこられたリアス部長の故郷でもある冥界。そこで各自、自身の修行のためにアザゼル先生から課せられたカリキュラムをこなしていく中、一誠の修行は、巨大なドラゴンとの追いかけっこ。スパルタここに極まれり! な、死と隣り合わせのトンデモな修行ですが、それを生き抜いた一誠の実力は、確かに底上げされている模様。けれど、こんな場所でも否応なしに襲ってくる『禍の団』の刺客の手により、絶体絶命の窮地に陥った一誠が、起死回生の手段として至ろうとする“禁手化”の最後の一押しがひどすぎです。そりゃ、ドライグも涙声になるわ……。ある意味、一誠らしい斜め上の方法によるパワーアップですが、後にも先にもこんな手段でレベルアップする主人公なんていないんだろうなあ……。

そんな感じで、これまでにない切り札を手に入れた一誠ですが、今回、催されたレーティングゲームでは、その圧倒的なパワーをルールによって封じられる展開。物語の後半でも色々物議を醸しているんですが、状況に応じてルールが臨機応変に変更されるっていうのは、そのルール次第で勝敗の行方が大きく左右されるわけで、それはゲームとして、あるいは協議としてみた場合、穴だらけなんじゃないかなあ? 作中でも、ゲームの勝敗辞退は下馬評通りにリアス部長のチームが勝利したりするんですが、その内容は局面局面では完敗に等しいようなバトルも。観戦者たちの評価も、どちらかというと惜しくも敗れてしまったソーナ会長寄りになっていたりと、これからもこのレーティングゲームを物語の中心に据えていくには、少し疑問が残る一戦だったんじゃないのかなあ?

そんな厳しいルールに縛られた戦いの中で、新たな必殺技を編み出すのは我らが主人公・兵藤一誠。ドレスブレイクに引き続き、女の敵・一誠の代名詞ともなりそうなその技は……パイリンガル。ああ、もう、書いてて自分がバカなんじゃないかと思えてくるくらいに、想像の斜め上を行くような変態的な技を編み出しやがります、この主人公。困ったことに、それがやたらと使い勝手が良かったりするものだから、さらに女性陣から評価を地に落としてしまうのですが。相手の思考を、もとい、胸の内を読み解くこの技、使いどころを間違えなければ無敵に近そうな脅威の技ですが、やっぱりルールで禁止されてしまったり。どんどん禁じ手が増えていってるなあ、この男。

修行に明け暮れた合宿の帰り道。今回の合宿を通じて、今度は子猫ちゃんがデレました! いや、まぁ、身を賭して自分を元気づけた一誠の姿に好感を感じないというのは嘘でしょうけれど、このデレっぷりは予想外っ……! なんだ、この愛玩動物的なかわいさは。着々と部員たちの心を手中に収めている一誠。ハーレム完成まであとわずか! けれど、美味しい思いをしながらも、決定的な一線を越える日は、遠そうだなあ……。

さて、最後に登場した男の宣言で、次巻はアーシアを巡る男の戦いが巻き起こるのかな?

hReview by ゆーいち , 2010/04/18