迷い猫オーバーラン!〈7〉拾ったらいいじゃないですか!

2013年4月18日

stars わたしはそんな手に乗せられません! 覚えておいてくださいっ! わたしは絶対に芹沢先輩や、梅ノ森先輩や、霧谷先輩みたいに、都築先輩のいやらしいハーレムなんかには入りませんから――――っっっっ!!!!

二年生になった巧たち迷い猫同好会は、意外な展開に驚いていた。部室に入りきらない程入部希望者が集まったのだ。大喜びの千世だがそのために他の部に人が集まらず、部員を選抜することに。結果、新入部員は二名に絞られてしまう。しかもその二人、一癖も二癖もある迷い猫だったのだ。その間にもお互いの気持ちを確認してしまった文乃たちは、微妙な距離に悩んでいた。希たちの恋の行方は? 新展開のハイテンションラブコメ第七弾、暴走開始!!

[tegaki font="poptai.ttf" color="Salmon"]新学期! 新たな迷い猫がやってきた[/tegaki]

なんやかんやで進級し、新学期を迎えた巧たち。他の部活と同じように新入部員を求める迷い猫同好会には大量の希望者が集まり嬉しい悲鳴。部長である千世のお眼鏡にかなう優秀な部員を峻別するために、奇想天外なテストで盛り上がり。最後に残った勇敢なる2名が、晴れて新部員として迎えられることになるわけですが……。

これまた、癖のある2人が入ってきたものです。美少女ながらもぶっきらぼうで取っつきにくい雰囲気の女子・十和野心、さわやかリア充な印象の男子・柴田仁。どうして同好会に入ろうと思ったのか、そこからして謎な彼らを迎えて新しい1年のスタート。巧を巡る文乃たちの恋の行方も気になりますが、難儀な新メンバーが巻き起こすトラブルも同時に予感させられますね。

毎回、ひとりの迷い猫を迎えていく感じの物語。今回は心のエピソード。千世や家康みたいにオープンなオタクではなくて、いわゆる腐女子な彼女。その居場所を求めてたどり着いたのが迷い猫同好会なら、それは彼女にとっても幸運だったんでしょう。ただ、それを打ち明けるには、過去の辛い記憶がどうしても彼女の心を臆病にさせてしまって。秘めたまま、好きなことを話すこともできず、そもそも好きだと言うことすらできない生殺しに似た状況なら、ピリピリするのも無理なからぬことなんでしょう。

それでも、そんな行き場をなくした誰かがいるのなら、その居場所になってやろう、居場所を作ってやろうと思って頑張ってしまうのが巧という少年なわけで。ハーレムの主だとかあらぬ誤解を受けながらも、彼女が自分を出せる場所を作るために頑張る姿は、相も変わらずお人好しなんだなあ。そういう態度が、少女たちの気持ちをやきもきさせていることに、もう気づいていないわけじゃないだろうに。

空気の読めない柴田の不用意な発言で、せっかくほどけかけた心の気持ちもまたこんがらがって。それまで割と上手く世渡りしているような印象があった少年だけに、その言葉が純粋に悪気なしで発せられたとは思えない、疑い深い私がいたり。竹馬園さんの前例があるだけに、金持ちの表と裏の顔を想像してしまったりするのですよ。

そんな紆余曲折で、迷い猫同好会に迎え入れられた心。自分が決して誰も彼もからも避けられるような存在じゃないことを、その身をもって示してくれたみんなの気持ちに応えるためにも、これから少しずつ先輩の迷い猫たちとも打ち解けていくんでしょうね。何やら巧には特別な呼び方もし始めたし、新たなライバルとなるのやら?

文乃、希、千世の3人の関係もなかなか膠着状態が解けませんね。それぞれに良いところがあるから、巧がそれを知っているから、今すぐに誰を選ぶことができないという理由はあるけれど、やっぱりこの状況は見ている方も焦らされますね。後輩たちのイベントも大事だけれど、自分を磨くと決めた巧の成長も、しっかりと描いていってほしいところです。

hReview by ゆーいち , 2010/05/05