女帝・龍凰院麟音の初恋〈4〉

stars 恋はココロの中でキラキラと輝いて、素晴らしい力を自分に与えてくれマス……。けれど、その輝きは刃の煌めきなのデス。目映いほどに、恋は鋭い刃となって自分の胸に刺さるのデス……。

麟音と相変わらずの関係を続けながら、憧れの美麗さんともぐっと距離が近づいた悠太の前に新たな美少女が現れる。
その名はサラ・アークエット。
美麗さんよりも胸が大きく、麟音よりも素直にデレる。万能無敵の彼女の正体とは!?
そしてこの危機に麟音と美麗はどうする??
暗雲漂う悠太と麟音に起きる緊迫の事態。

[tegaki font="crbouquet.ttf" size="36″ color="Crimson"]金髪巨乳・来襲![/tegaki]

3巻からずいぶんと待たされた第4巻。ようやく発売されました。もう、ずいぶんと内容を忘れてしまっていましたが、そうそう、夏休みの終盤に、悠太が浮気をしていたんじゃないか!? なんて危機的なネタが挙がってきてたんだったですよ。

そして、ついにそのお相手、サラが登場。麟音とも美麗とも違う魅力の持ち主にして、悠太の属性を誰よりも満たすような完璧超人的なキャラですが、うん、思いっきり狙ってますね! 裸ワイシャツだとか裸エプロンだとか、もう、なんというかそれなんてエロゲな展開のオンパレード。そりゃあ、寮の連中も、彼の裏切りをこぞって糾弾して大量に追い込むわ、ってどこかで見た展開だなあ。

まぁ、それはそれとして、サラの登場で麟音の内心はかつてないほどの荒れ模様。悠太の浮気という裏切り行為も許せないのだけれど、むしろ、自分はおろか、美麗でさえも勝ち目のないくらいに立派なお胸の持ち主に劣等感ばりばりで、気弱なところも見せてくれますね。自分はそんなこと気にしてないし、負ける気もないなんて強がって見せても、そんなのは言葉ばかりで、不安に思ってるのはバレバレ。そんなところをしっかり気づく悠太も、麟音のことをよく見てるんだと思うんだけれども、彼がそのことに気づくという意味を、本人がまったく理解してないあたりが、もうね、爆発しろ!

文化祭を間近に控え、ふたりであれこれ見て回る計画を嬉々として練る麟音は可愛いし、そんな彼女に振り回されるのも少しは悪くないかと考え始めた悠太もだんだんと麟音に惹かれてはいるんだろうけれど、絶妙のタイミングでピンチが訪れますねえ。おっぱい勝負とかやってる場合じゃないって。そこももうちょっと引っ張るかと思ったら、思いっきりあっさりだし。じっくりたっぷり描写してくれてもいいじゃない!?

と、おっぱい星人な悠太の妄想暴走ぶりも、さすがに終盤は発揮する場所もなさそうな雰囲気。悠太と麟音の間に生まれてしまった、亀裂は、これまでのようなすれ違いではなくて、お互いの信頼にヒビを入れるような決定的なものになりかねないだけに、楔となったサラのことばが、いったいどんな真意のものに発せられたのかが気になりますね。自分は嘘をついたことがないというのを誇っていたのに、はじめてついた嘘は、自分だけじゃなく、大好きな人も、その人が思っているかもしれない人も傷つけてしまいそうな嘘で。恋は戦いと言うけれども、望まない形で、それを手にしようとしてしまったとき、優しすぎる彼女がどんな選択をするのか、残された時間は少ないですよ?

割とシリアスな展開で次巻に続いたけれど、夏休みの失われてしまった記憶の中でも最大の問題が、ついに解決を見るのかな? 果たして麟音の日記に書かれたことが事実なのか、誤解なのか、それが明らかになったとき、恋人のふりをしてきたふたりが、その先をどう決めるのか、物語的にも一区切りが近そうな予感です。

hReview by ゆーいち , 2010/09/21

女帝龍凰院麟音の初恋 4

女帝龍凰院麟音の初恋 4 (一迅社文庫)
風見 周 , 水月 悠
一迅社 2010-09-18