なぁ、いづなさ。最後にゲームを“楽しい”って感じたの、いつ?
消えた空の意図、残された白、人類種の運命は! そして
「言ったろ”チェックメイト”って。あんたらは……とっくに詰んでたのさ」
対獣人種戦決着へ――薄氷を踏む謀略が収束する、大人気異世界ファンタジー第三弾!
[tegaki font=”crbouquet.ttf” size=”36″ color=”red”]さあ、世界を飲み込もう![/tegaki]
突然姿を消した空。その事実に崩壊寸前となる白。最強であるはずのゲーマー『
と思わせておいて、この展開は熱すぎる! 何なんですがこの兄妹は。二人で一人という言葉が、単なる比喩ではなく、二人そのものを指し示す言葉であるかのような強固なんて語でも生やさしいと思えるくらいの結びつき。自分が自分であるために、片割れであるもう一人のきょうだいが必要であるというその事実。悪夢のようなゲームを通してクラミーが知った空の記憶のすさまじさとは一体何なのか。
空と白の出逢いが少しずつ語られてきてますね。第一印象最悪かと思ったあの出逢いから、どうして空が白にゲームをふっかけたのか。かつて語られた彼女の中にある本物の煌めきを知り、憧れ、そして自分を自分たらしめる最後のパーツだとでも悟ったのでしょうかね。同時に白にとっても、その出逢いから長い時間をかけて、自分の中で兄に対する兄妹愛以上の感情を育んできている模様。なんか18禁展開が七年後には現実のものとなりそうな関係ですが、というか作者が同人誌でそんな本を書いている事実に驚愕(笑) 順調に空のハーレム化が進んでいるような気がしますが、最終防衛ラインたる白のお許しが出ない限り、倫理の地平を飛び越えることは敵わないのですね、嗚呼……。
ともあれ、序盤の全存在をかけたゲームの盛り上がりからして異常。それも、自分の手駒を増やすためのに、自分の存在が消えることすら許容し、それ以上に大切なものを当たり前のように設定している兄にして、その期待を期待通りかなえる妹。もはや、この二人は人の身のまま規格外の領域に余裕で足を踏み入れている気がするのですが、それは、本番戦の対獣人種戦でもいかんなく発揮されて。
いやいやいやいや、もう、さすがにここまで来たらアンタら人間じゃないでしょ! なんて突っ込みたくなってしまう人外っぷり。FPSを題材とした仮想空間内でのゲームで、肉体的な限界そのままで、人類をはるか凌駕する獣人種を圧倒する戦略と戦術。スゴすぎる。そして、前半の妹を全信頼する兄の姿を描いておいて、後半では兄を全信頼する妹の姿を描いてみせる対比も見事。自分にできないことはもう一人ができる、それを揺るがぬ自信と実力によって証明し続ける『
そして、獣人種を下し、空が描いて見せた勝利へのロードマップ。異世界人だからこそ、そして最強のゲーマーだからこそが気づけた『神』への挑戦権を得るための唯一の方法。世界を束ね、共同戦線を張り天上に在る存在へ挑む。人が人ならぬものへと挑む展開で、最も盛り上がる展開の一つではないでしょうかね。順調に野望を達成しつつあるエルキア“連邦”が、さらに格上の種族にどう挑むのか、共同戦線を張る人類種以外の活躍の場もしっかり用意されそうでワクワクが止まりませんね。
作中最大の苦労人・ステフさんにも、お仲間ができたようで……。さらなる無茶振りにどう応えるか、それも期待!
頑張れ、作者! 死なない程度にちょー頑張れ! いやマジで。
hReview by ゆーいち , 2013/02/10
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- 榎宮祐
- メディアファクトリー 2013-01-24
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