いえ、知り合いでいいのかしら。私、比企谷くんのこと名前くらいしか知らないのだけれど。より正確に言うのならば、それ以上のことを知りたくもないのだけれど。それでも知り合いと呼ぶのかしら。
ああ、もう、どいつもこいつも残念すぎて溜息が出ます。過去のトラウマのフラッシュバックに頭を悩ませながら適度の距離を取りつつ奉仕部に居座る八幡。八幡に辛辣な言葉を投げつける雪乃さん。そして、何気に二人の共通点になって、あっちにふらふらこっちにふらふら、今どきの女子――だけど完全にはなりきれていない――を演じる結衣。なんか、のっけから雪乃さんと結衣の百合百合しいスキンシップに眼福の極みで、八幡、ちょっとそこ変われ的な思いに囚われつつも、試験前の勉強会へのお誘いを華麗にスルーされている主人公憐れ。うん、分かる、そこでふと自分も参加するつもりでもう一言でも発したら「は? こいつ何言ってんの」的な視線を投げかけられて、また心に傷を負うことになったんですよね。結果的に合流することになりましたが、ファミレスで勉強するとか、それはそれでなんとなく充実してる気がするんですが気のせいですがそうですか。
新キャラも順調に増加してますね。八幡の妹の小町は、おバカな妹キャラの典型的な正確ですが、自覚的に可愛い妹役を担ってそうで見た目ほどバカじゃないのか……? うーん、でもやっぱりその言動はおバカとしか言いようがない。前巻でもちょこっと登場したリア充代表格な葉山くんは、純粋にいい奴っぽいですね。いつもにこにこ交流がない八幡にも他意なく接することができる人格者、でも名前間違えてるよ!? 雪乃さんとはなんだか以前から面識があるようだけれど幼なじみ的なアレですか。そんなリア充の悩みを、ぼっち力を発揮しつつ解決する八幡の卑屈すぎるスキルの数々は苦笑するしかないけれど、他人といることが当然のような葉山くんや、結衣のような人たちからしたら、気付かないような視点で人間関係を紐解いてみせる洞察力はなかなか……だけれど言葉が悪くて結局印象改善してないよね……。
物事を悪く考え、期待しないというスタンスの八幡。結衣の態度はもはや読者からみれば分かりやすいくらいの好意なのに、彼は彼女のその行動を、自己の加害者、被害者とい後ろめたさからだと思ってそこで線を引いて自己完結してしまっている。彼女が彼に踏み込もうとしても、踏み出した足が地に着く前に待ったをかけるような寸止めっぷり。社会見学の班分けでも自分から積極的に版を組もうとせず彩加をやきもきさせたみたいに、知り合いレベルから友だちになる、その間にとんでもなく広い溝が横たわっているみたい。というか、彩加のヒロインぷりがヤバい。もう、道を間違えてしまっても後悔しないくらいに。もういっそ、そういうスピンオフが遭ってもいいんじゃないですかねえ? そっちに進んだら、さらに取り返しが付かなくなりそうですけど。
まぁ、そんな感じで、結衣の行動が責任感から出たと思って、それ以上の関わりを拒否してしまったかのような八幡。小町の一言で気付かなくても、いつかは分かったこと、もしかしたら結衣の方から打ち明けたことかもしれなくて、遅くなればなるほど反動で心の傷が深くなるような主人公の正確と案件なだけに、スタート地点に戻っただけというのはまだマシな状況なのかな。無自覚に女の子の心を傷つけてる主人公の無神経さには、思うところもありますが、それまでの経験が深入りすると痛いだけだということを警告してるのも分かるんですよね。ここまで凝り固まった警戒心を突破するのは本当大変そうですが、結衣にはぜひとも頑張って欲しいところですね。
一方の正ヒロイン(?)のはずの雪乃さんは、いまだに八幡を知り合いレベルで友だちとまでも言わないのか……。彼女は彼女で、独り暮らしをしていたり、家族の問題に根深い闇を想像させたりと、単なる優等生で完璧超人というレッテルだけで語れるほど浅いキャラでもなさそうですね。八幡と彼女の「勝負」もいったん水入りになった様子だし、次巻以降仕切り直し、新たな展開が待っているんでしょうか。
大なり小なり、相変わらず学生時代の苦い思い出を抉り起こされる語り口が痛気持ちいいお話でしたね。くそう、私ももっとリア充していれば、もっと、ねえ……?
hReview by ゆーいち , 2013/02/14
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