さよならピアノソナタ〈3〉

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stars 大事なのはスピードじゃないよ。四人で呼吸を合わせることだ。

合唱コンクールに体育祭、そして文化祭。民音部は初めての単独ライヴを文化祭のステージと定めて練習に励む。そこに至るまでの道のりは平坦ではなく、まさに単独ライヴを勝ち取るための戦いの日々だ。ときを同じくして来日したヴァイオリニスト・ジュリアン=フロベール。真冬の既知である少女と見まごうばかりの容姿の彼は、ナオに問いかける「ナオミは、真冬の、なんなの?」と。

今回もナオの鈍感で民音部のメンバーは苦労させられてますね。もう、この鈍感さ加減は罪と言っても良いレベルかと。神楽坂先輩だけは、それでもナオを手玉に取る一枚上手さを見せてくれますが、自分の気持ちに全く気付いてもらえない真冬と千晶の立場は……。

そして、登場する新キャラ・ユーリことジュリアン。彼の登場で、今まで確固たる言葉を持たなかった、ナオの真冬への気持ちが、おぼろげながらも形を取り始めていきます。ナオが知らない真冬の姿を知るユーリ。けれど、ユーリが知らない真冬の姿をナオは知っているわけで。まっすぐに、自分の気持ちを言葉にしてくるユーリにたいし、ナオが取った行動はじれったいながらも、自分と真冬の関係を新しく規定しようという想いが感じられましたね。

むしろ、真冬の口べたながらも、ナオへの依存を隠そうとしない態度に、土壇場まで気づけなかったナオこそが、やっぱり今回も戦犯じゃないかなあと思うのは仕方ないよなあ。あそこまで真冬に言われて、ようやく、自分がどうしたいのか。ただ、ただ真冬の隣にいたいという、そんな願いを口にするまでの紆余曲折の物語でありましたが、だからこそのラストシーンだったのかなと。

相変わらず、様々な楽曲とともに綴られ、奏でられる物語です。真冬が居場所を見つけたバンドという仲間とは別に、彼女が本来いるべきだったピアニストとしての居場所へも戻りつつある真冬。かけがえのない仲間と音楽。けれど、一度は逃げだし、再び立つことが許され、戦うことを決意した舞台が真冬にはあります。季節は秋から冬へ変わりつつあります。そして、冬の終わりが訪れたとき、民音部のメンバーにとって、その時期は別れの季節となるのか、あるいは新しい関係の始まりを告げる季節となるのか、楽しみですね。

hReview by ゆーいち , 2008/08/10

さよならピアノソナタ 3

さよならピアノソナタ 3 (3) (電撃文庫 す 9-9)
杉井 光
アスキー・メディアワークス 2008-08-10
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