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六畳間の侵略者!?〈3〉
……埋めましょう殿下、徹底的に。いえ、ただ埋めるだけでは生温い。二度と這い出す事のないように、手足を縛りましょうっ!
商店街の福引で、海辺の温泉宿泊券を手に入れた一行は、一◯六号室をめぐる攻防戦をいったん休止、真夏のバカンスへと繰り出した。だがそれは、仕掛けられた罠だったのだ! 浜辺ではしゃぐ美少女軍団(+α)に忍び寄るあやしげな影。果たしてその視線の先にいるのは誰なのか!? そんな圧縮系ラブコメディ第3巻。今回は、感動をお届けしま……す?
そうだ、海へ行こう! とばかりに狭苦しいアパートから飛び出した一〇六号室の面々。水着姿のヒロインたち勢揃いで肌色分多めの第3巻でございました。
六畳間を巡る攻防戦を経て、孝太郎と侵略者であるヒロインたちの間に生まれてきたのはなんともほほえましい一体感。剣呑としていたかつての部屋を巡る攻防の緊張感はどこ吹く風。お互いに遠慮なく、どつき合って遊び合って、だんだんと遠慮がなくなってきている感じが全面に出ていますね。
特に、孝太郎の女心を介さない鈍感すぎる所行に対して、唯一の良識派で穏健派と思えていたルースさんもついに暴走。にぶちんな主人公に対しての精一杯のアピールさえも意に介されず、切れるのも当然でございます。ああ、そうかあ、こんな感じで焼き餅焼いてくれるキャラだったんだなあと。これまではアグレッシブなティアの影に隠れつつ、バックアップとして活躍していた彼女ですが、やっぱり自分の気持ちを裏切ることはできないのかなと。六畳間攻防戦以上に、孝太郎を巡る女子バトルは参戦者続出で一気に過密化した様相。
そんな前半のラブでコメな展開とは一転、後半は一番孝太郎になついていた感じの早苗との確執が表面化。もともと相容れないはずのお互いが、気がつけばぐっと近くにいたというその理由。理由も分からず自棄になる早苗と、その気持ちに気づけない孝太郎。女ごころの機微に疎い主人公は、これからもこんなことを繰り返して、そして上手いことやってさらに距離を縮めていくんだろうなあ、コンチクショウ。けれど、問題を乗り越えても、やっぱりお互いの間にあるのはほんの少しの気持ちのすれ違い。家族になっていくということはいろいろな衝突を繰り返していくことでもあるのだろうけれど、このお互いを思う気持ちの形の違いは、これから先も他の女の子たちとの間でも積もっていくものなんだろうなあ。あぁ、部屋の所有権以上に、孝太郎の心の行方はまったく先が読めませぬ。
報われない魔法少女ゆりかは今回もナイスアシスト。作中では他キャラからぞんざいな扱いを受けつつも、めげない負けないあきらめない彼女にもスポットを当ててください。意味深なキリハの過去や、孝太郎的本命の晴海嬢、次巻ではさらにトラブルを呼び込みそうなティアのお国の事情やら、まだまだトラブルの種は尽きることもなくて。そんなにぎやかで楽しげな侵略戦、これからも存分に仲良くケンカしてほしいものですね。
hReview by ゆーいち , 2009/11/14
- 六畳間の侵略者!?3 (HJ文庫)
- 健速
- ホビージャパン 2009-10-31

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六畳間の侵略者!?〈2〉
あんたって奴は、どうしていつも幽霊の存在意義を否定するかなあっ!! もはや驚けとは言わん!! せめてあたしの声を聞け!! 揺さぶられたら目を開けろ!! 愛くるしい早苗ちゃんに、ぐっどもーにんぐまいえんじぇるとゆえっ!!
孝太郎の暮らす六畳間を巡る4人の美少女たちとの攻防は新たな局面を迎えようとしていた。停滞する戦局を打破するために選ばれたのは、体育祭の競技種目の一つである部活対抗障害物マラソンの順位によって、領土は大きく変化することになったのだ! 孝太郎は編み物研究会部長の晴海と一緒に特訓を開始。一方のティアとキリハは何やら裏で画策しているようで……?
早苗の脳内CVは北都南(笑)
いかん、どうしても脳内でみやびーがしゃべってる。まぁ、なんというか、健速らしい話の運び方で、このユルさとほのぼのさに癒やされますねえ。お互い敵同士のくせして思いっきり馴れ合ってるし、本気で戦う気があるのかだんだんと怪しくなってくるあたり、終わらない日常的なお話としてまったり続けていっても良さそうな気がします。
けれど、早苗やティア、キリハたちにはなんだかんだで見せ場らしい見せ場が用意されているのに、一応はヒロインであるはずのゆりかの扱いの悪さには今回も涙を禁じ得ません……っ。ここまで理由もなく不幸になって自分の言葉が届かないキャラも珍しいような。それでも物語の終盤では、孝太郎の部活の先輩、晴海との友情だったりとようやく良い思いをすることができたので一安心でしたね。
そんなこんなで六畳間を巡る争いも、今回の戦いで少し領土に変化が生まれたようで。イケイケ押せ押せだったティアやキリハのふたりが策に溺れたおかげの漁夫の利ではありますが、あのふたりがこのまま黙っているとは思えないわけで、これからの逆襲が怖くもあり、その騒動のドタバタが楽しそうでもあり。
一方の恋バナ的な方向では晴海先輩少し積極的に? ドキドキしつつも六畳間メンバーの輪の中に入れない彼女のもやもや感とかが、ちょっと切なげな雰囲気を醸し出していますが、孝太郎の朴念仁ぶりもまた、この手の主人公らしく筋金入りであるわけで前途多難な模様。幽霊であり、そのことで本当の意味で孝太郎と触れ合うことができない早苗の想いや、臣下として見ながらもそれ以上の気持ちも持ってそうなティアや控えめながらも好感度高しなルース、どこまで本気なのか分からないキリハの行動などもひっくるめて、ラブでコメな盛り上がりにも期待したいですね。
そして思わせぶりな引きを見せてくれたし、まだまだ続きそうで一安心。
hReview by ゆーいち , 2009/07/04
- 六畳間の侵略者!?2 (HJ文庫)
- 健速
- ホビージャパン 2009-07-01
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六畳間の侵略者!?
それでは皆さん、誰もが納得する方法で平和的に問題を解決する事を期待します。
月5000円・敷金礼金なしという破格の好条件で提供されている、ころな荘106号室へ無事入居を済ませた里見孝太郎。しかし、この部屋は様々な勢力から狙われていたのだった! 六畳一間の空間を狙い、次々と訪れるかわいい侵略者たち。孝太郎はせっかくの良物件を手放すものかと応戦を開始するけれど……?
プロローグにまるまる一冊使った感じのお話ですね。続巻前提ということで、キャラの顔見せと舞台の整理にページが費やされてます。ゲームのフォーマットで書かれてるような雰囲気がまんまんなので、これに音と声が付いたらなあとか思ってしまいます。
破格の好条件(かわいい同級生の管理人さんも一つ屋根の下)のアパートの一室を巡る攻防。一介の男子高校生・孝太郎の前に立ちふさがり、この部屋の所有権をかけて熱い戦いを繰り広げるのは、幽霊・地底人・魔法少女に宇宙人、よりどりみどりの美少女揃いで誰も彼もが常識知らずと嬉しいような頭を抱えたくなるようなそんなシチュエーションににやにや。
そして、さらにそこに絡んでくるのは、最強キャラ認定されそうなジョーカーキャラの大家さんこと笠置静香嬢と、先輩キャラの桜庭晴海嬢。大家さんはなんとなく、このドタバタを傍観しつつ、そしてときには鉄拳制裁しつつ、孝太郎に深く踏み込んでこないような感じだけれど、部活の先輩後輩な間柄になった桜庭さんは、唯一の部員以上の気持ちを持って接してきそうな予感。まぁ、日常まで侵略しにかかった孝太郎の同居人たちが、そんなウハウハ幸せ空間を見逃すはずもなく、今後は部活でもドタバタが繰り広げられそうですね。
勝利条件は異なれど、皆目指すはころな荘106号室の奪取。ラブ方面で展開していくとしたら、孝太郎といい仲になれば、棚ぼたでこの部屋ももらえるんじゃね? 的な勘違いと暴走で、一気に加速していったりすると楽しいかも。物理的に戦うんじゃなくて、そんな恋の駆け引きも息がつまりそうな六畳一間で繰り広げられてほしいですねー。
そんな場所に一番近いのは幽霊少女・早苗かな? 個人的には宇宙人でお姫さまなティアと、彼女の部下のルースさんがお気に入り。こういう暴走系のお嬢さまと、それを温かく見守るできた侍従って関係は良い良い良い。ほら、みやびとリーダさんぽくてさ! てかルースさんはリーダさんにしか思えない(笑) あと、意図的にハブられてるっぽい、魔法少女なゆりかの薄幸具合に和め! んー、キリハ? こういうキャラ付けだと一番人気は難しいよね、きっと。
hReview by ゆーいち , 2009/03/21
- 六畳間の侵略者!? (HJ文庫)
- 健速
- ホビージャパン 2009-02-28
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そして明日の世界より―
- 2007-12-15 (土)
- えろげー
世界の終わりはいのちの終わりじゃない その先へその先へ
1周目
とりあえず1周。特に何も起きなかったけれどたぶんノーマルエンド。
健速氏の描く世界は、人間が大好きなんだなあと実感させられる。美化しすぎにも思えたりするけど、この世界で生きてきた、これから生きていくひとたちの絆の美しさがこれでもかと描かれてて切ないがそれがいい。
3ヶ月後に逃れえない滅亡を告げられた世界で、自分だけの世界を一度は失い、けれど再びその欠片を集め再生させていく物語。
その先のお話が語られなくても、彼らの世界に再び溢れた光は、最後まで輝きを失わないのだろう。
今ひとつ盛り上がりが感じられなかったけれど、やはり終盤は涙腺やばい。あぁ、なんだかんだ言っても、こういう人間の優しさに触れられる物語というのもやはり気持ちが良いもの。
2周目
夕陽ルートはふたりの持つ「世界」への認識の齟齬が混乱を生んで事態をややこしくさせていた。夕陽のために生きているような昴の生き方。かつて、夕陽・朝陽の母親と交わした約束、その言葉尻にだけ縛られ、過剰に夕陽を大切にし、そのために夕陽も昴に依存するしかできなくなってしまった歪な関係。自分のために生きてくれるのは嬉しい、けれど自分のために命を捨てられるのは、自らの命を差し出してもなお足りない、そんな矛盾。夕陽の叫んだ、自分に昴を殺させないでほしい、その言葉の重みと痛みが昴の芯を抉る。自分のために死ぬんじゃなくて、共に生きるために世界の終わりを選ぶ。それは、言葉にすれば簡単で美しいだけだけれど、きっと、どちらを選んでも夕陽は最後には笑顔で昴を肯定してくれたんだろう。
3周目
朝陽ルートは近すぎる三人のすれ違いと勘違いが痛々しい。かつての約束に縛られていたひとたちが、ようやくあるべき形に収まった物語。もっとも、朝陽という、キャラクターにいまいち感情移入できない──というより嫌いなんだな──ので、通してみるとちょっと不満。ずるい女で、自分を誤魔化し、その罪に気付かないふりをして、問題を先延ばしにするというのは、状況が許しても客観視してしまうと駄目な意味で痛々しかった。
4周目
青葉ルートはCVの青山ゆかりの演技が光っていた。2重3重に自分を隠していた青葉というキャラクターをちょっとしたイントネーションの変化で見事に表現していたように思う。どこか嘘めいて、作り物じみていた彼女との会話、彼女の言葉が、その予想通りであったことが分かった瞬間は、背筋がぞくりとしたり。昴との、親友であり対等であり、最も望んでいた形での関係を築くまでの過程はかなり良かった。過去のエピソードも絡め、一番古くからの関係であったがゆえに、今さら大きく変わるためには、激しい痛みが伴う。騎士の兜で臆病な顔を隠し通した少女が見せた、本当の笑顔は予想通りに自然で柔らかかった。
5周目
御波ルートは世界の美しさ、普通であることの難しさ、当たり前にそこにあるものの喪失が、何よりも耐えがたいものであることに気付かされる物語。死と共に歩み、他人と隔絶して生きてきた御波が、世界が滅ぶという皆が平等な状況に置かれたことから棚ぼた的に手に入れることになったひとかけらの幸福。それは、友だちであったり、普通の日常であったり、昴という掛け替えのない恋人であったり。御波は死を恐れない。ただ、それに伴う幸福の喪失に気づき、怯えた。だから彼女が望むのは、最後の最後まで歩んでゆくことのできる誰かであり、それに応えることができたのは昴だけ。その出会いと関係の成就は奇跡なんて言葉で表現されたりするけれど。残りの人生を賭して、共に歩むことを望む御波と、彼女の願いを簡単に叶えると言い切ることのできた昴が見ていたのは、目の前にある世界の終わりなどではなく、その先の先にある明日。
エピローグ
そしてエピローグ。全ての終わり、また始まっていく。彼らが最後の最後まで、当たり前にあり続けた証。そして彼らの意志は世界が1度滅んだくらいでは朽ちることなどないという確かな記憶と記録。きっと彼らに続く、次の世代のひとたちも、友を愛し慈しみ、笑顔を惜しみなく注ぎ合って歩いていく。「ここにある」という当たり前のことを紡いでいくために。
──序盤~中盤の展開が冗長で、「世界が滅ぶ」という終末が予見されているという設定上、どうしても重苦しい展開にならざるをえず、そういった点では気楽とか明るいとかそんな雰囲気とはかなり縁遠いシナリオ。けれど、健速氏が登場人物に託した想いというのは、気障で理想論で美談かもしれないけれど、やはり心地好く感じられた。自分の命と、周囲の人々と自分が創り上げている自分だけの「世界」、天秤に掛けてどちらを選ぶかということに、明確な答えなど出せようもないのに、気持ちいいくらいにすっぱりと後者を選択し、そしてきっと誰もが欠けることなく最後の時間まで変わらず過ごしていったと思わせるあたりが、この作品の美しさなんだろうと思う。
世界は変わらずありのままそこにある。そんな簡単なことに気付くのは存外に難しくて、けれど気付いてしまえば、色あせたように思えた世界も彩りを取り戻す。これは、ただただ今ある世界を美しいと思い、いとおしいと思えたひとたちの、優しい優しい物語。
hReview by ゆーいち , 2007/12/15
- そして明日の世界より― 初回限定版
- etude 2007-11-22
- etude | えろげー | そして明日の世界より― | 健速
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あの日々をもういちど
う~ん、ちょっと期待しすぎたかな
妖魔が跋扈する時代。水際の剣士・流がその身とともに強大な力を持つ鬼を封じてから400年。封印が解け、流が見回した世界は一変し、守るべき人も、村も何もかもがなくなってしまっていた。自らの存在意義すら失われてしまった現代にあって、彼の前に再び現れたのは、かつては姉と慕い、そしてどうしようもない理由から憎しみを向けられることになってしまった土地神でもある妖狐・夕凪で。
かつて守れなかったもの、これから守っていくもの。400年という取り戻しようのない時間を経てしまった流の苦悩や絶望が、彼の視点であったり、あるいは過去の幸せな時間でもって語られ、重さを感じさせます。
時代の変化について行けず、剣を振るうという自身の価値を現代において見いだすことができなかった流が、同じ時間を過ごした夕凪と再会し、互いを傷つけ合うことしかできないながらも居場所を見つけていくまでの物語。なんともお約束な感じではありますが、挫折と再起というのは燃えるものがあります。
まぁ、作品自体が設定のスケールの大きさと相反する感じで小粒にまとまっている感じで、流と夕凪の関係とか、妖魔らとの戦闘描写とか、そういった部分も深く深くじっくりと描いている感じはしなかったかなあ。過去の流と、義理の妹・茅乃とのやりとりとか、流の根幹を築いていた部分の描写が足りない感じ。それは夕凪との関係にも言えますが。
健速作品としては、初めて触れたものが『遥かに仰ぎ、麗しの』本校系シナリオで、その作風に非常に惹かれたものですが、本作においてはそんな部分がなりを潜めていて、私が期待していたのとはちょっと違った感じの作品に仕上がっていたのがやや残念。氏のテキストはゲームという媒体で、絵や音声を伴って映えるのかなあとも思いました。
あとはイラストがいまいち……。妖魔の作画とかかなり手抜きに見えて、脅威とか伝わってこなかったからなあ。
hReview by ゆーいち , 2007/08/05
- あの日々をもういちど (HJ文庫 た 3-1-1)
- 健速 双
- ホビージャパン 2007-08-01
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