第13回電撃大賞 大賞受賞作。とても優しいお話。おとぎ話と言い換えてもいい。電撃文庫というレーベルから出版するにはなんとも毛色の違った作品ですね。
人でありながら人の名を持たないミミズクと、夜を統べる魔王でりながら、人の名を捨てたフクロウ。そして、国を統べる王と、聖剣を携えた聖騎士と剣の巫女。ファンタジックな要素がこれだけ揃っていながら、その舞台・背景を深く掘り下げるよりも、そこに生きる人々の感情を描く。絵本として読んでも楽しめる作品であり、ライトノベルというよりも児童文学という土俵で勝負しても十分に高い評価が得られるのではないかなぁ。
作品を通してミミズクが感じ、得たもの。居場所のなかった彼女が、何も望むことなく生きてきた彼女が、自ら望んで選んだ場所。人という存在に絶望し憎悪し、夜を選んだフクロウ。そんなふたりの、ほとんど交わす言葉もないながらも、しっかりと果たされていた優しい気持ちの在りように、ただただこちらも心が温かくなりました。
コメント
コメント一覧 (4件)
[紅玉いづき] ミミズクと夜の王…
魔物がはびこる森の中で、ミミズクはふたつの月を見つけた。空に浮かぶ月と、同じぐらい美しい美貌を持つ人と。ひょっとしたら、人間ではないかもしれない。それでもよかった。ミミ (more…)
ミミズクと夜の王/紅玉いづき…
紅玉 いづき
ミミズクと夜の王
いろんな意味で「真っ直ぐ」な作品でした。
後書きで泣きそうになったのは初めてです。
「「 私安い話が書きたいのよ、と、熱に浮かされた病人…
「ミミズクと夜の王」紅玉いづき…
「ミミズクと夜の王」
紅玉 いづき
メディアワークス
2007-02
勝手に評価:★★★★★
読書期間:1日
魔物のはびこる夜の森に、一人の少女が訪れる。
額には「332」の焼き印、両手…
こんばんは。
私も心温まり、じんわり涙しました。
表紙も電撃にしては異色だし、挿画も無いけど、それが良かった気がします。