“文学少女”と穢名の天使

2007年5月11日

“文学少女”と穢名の天使読了。

『オペラ座の怪人』が今回はモチーフの“文学少女”シリーズ第4作。いよいよ佳境にさしかかるか? と思いきや少しだけ歩みを緩めて、心葉と琴吹ななせの距離の近づきを描いています。これまでさんざんあからさまに描かれてきた、ななせの好意の意味とか、二人の出会いのエピソードとかを経て、よもやここまで物語の根幹に関わるキャラになってくるとは。

過去にななせを支えた心葉、そして、現在において心葉を支えたななせ。その思いが通じる過程の中で二人が関わった事件は、苦く悲しく、決していい思い出になりうるものではないけれど、だからこそ、ようやくといった感で二人の関係の進展を祝福できる側面もありますね。

さて、いよいよ次巻では、物語の、そして心葉の心の中心にずっと佇み続ける美羽が本格的に関わってくるのか? 作中では語られなかった芥川くんの奇妙な行動の背景には、彼女の陰がちらつくし、ななせとの対決はどれだけ心葉の内面を深く抉るのか。

痛くて痛くて、悲しくて、けれど美しいこの物語。心葉の抱えた傷、美羽の抱えた傷、遠子先輩の意味深な物言い、と語られるべき伏線もいよいよ美羽を中心に収束しそうな雰囲気。どこまでも救われない人が確かに存在し、その物語が閉じられた後、残された思いに何を感じるのか。

せめて、最後の最後には、幸せな想いに満ちた幕引きを期待したいけれど、それはまだまだ甘い願いなのかなあ。