世界平和は一家団欒のあとに〈2〉 拝啓、悪の大首領さま

2007年6月17日

stars 正義の味方 悪の組織の家庭崩壊を救う?

なんというか、殺伐としない善と悪の小競り合いが背景にありつつも、一つの家庭の問題と再生というミクロなテーマをしっかりと描き切っているのが、このさわやかな読了感の根幹でしょうか。

前巻でもさらりと流された、とある悪の組織とのいざこざが、今回一気にクローズアップ。なんとも世間は狭いもので、正義の味方一家と、元・悪の秘密組織首領一家が同じ町内に居を構えてるとか、冗談のような設定から話がスタート。

軋人に敗れ無気力になってしまった元首領の父と、その家族の微妙な感情のすれ違いに端を発したトラブルが、一気に地球規模の危機に発展しかねないくらいのインフレしたり、その原因がよりにもよって正義の味方であるはずの星弓さんちの七美さんだったり。もうどっちが善だか悪なんだか、混沌とする展開が痛快で楽しいですね。どれだけ強大な力を持っていても、問題を細分化してみれば、それは単なる個人間の感情論だったり、誤解だったりと、見方によっていろいろな解釈が出てきそうな曖昧さの中で、それでも単純に「父親の格好いい姿を見せてやりたい」という理由で鶴見家の末っ子・正志に手を貸す軋人の、ぶちぶち良いながらもしっかりとやり遂げる偽悪者ぷりも気持ちよかったり。

無茶なスケールで話が展開しつつも、こういう極小の問題を上手に料理してくれるシリーズに仕上がってきましたね。続きも期待できそうです。

hReview by ゆーいち , 2007/06/17

世界平和は一家団欒のあとに 2

世界平和は一家団欒のあとに 2 (2)
橋本 和也
メディアワークス 2007-06