とらドラ6!

2008年8月18日

stars 生徒会長選挙を前に北村ご乱心!?

文化祭で大切な思い出を作った反動か、北村が燃え尽き症候群を患っているようだ。──まもなく生徒会長選挙だというのに。そんな話題が、HRで出たとたん、北村は突然叫びだし、翌日──グレた。その理由も竜児や大河には分からず、幼なじみの亜美は彼を「甘えてる」と切り捨て、みんなの兄貴・狩野すみれは「失望した」と言い捨てて……。

軽妙なキャラクターで、あんまり悩みとは縁がないと思われていた北村を中心にしたエピソード。まぁ、スピンオフを読んでいれば、彼の悩みとかその辺は読者は分かっているのですが、しかし、ここまで分かりやすい反抗で駄々をこねるとは、という意味でちょっと意外なエピソードでした。

コメディとしての楽しい部分は至る所に仕込まれていて──主に、みのりん方面──笑えることは笑えるんですが、全体的にシリアス色が深まってきたのかなという感じがします。北村の悩みしかり、大河も彼への恋心に苦しみ、竜児はみのりんとの距離を不器用ながら縮めはじめ、亜美は一歩引いた場所で冷めた視線を送りつつも何かと気を遣っていたり。仲良しだったり、単なる友人関係だったものが、少しずつ変わり始めているという予感を抱かせます。

もう一人の中心人物だった会長・狩野すみれ。彼女が作中で語られているようなパーフェクト超人ではなく、年相応の恐れも怯えもある一人の人間であったということの明かされ。大河との真剣な殴り合いもそうだし、北村の想いへ応えたくても応えられないという、夢との狭間での苦しみとか、雲の上の存在なんかではなく、年相応の人間だったという描写とかも見事でしたね。最後の最後で心の憂いをなくし、豪快な笑い声で締めてくれた彼女は、それでもやっぱり兄貴らしい彼女のままでしたが。空の向こうへ届けとばかりの印象的な締めでしたね。

さて、みのりんは道化的な役回りをしつつも、時折別の顔を見せ、何やら訳ありの雰囲気を漂わせていますね。竜児との仲が少しずつ進展しているように見えるけれど、ふたりの距離がさらに縮まるためには見えない壁が厚く立ちはだかっていそう。頑なに心を開くことを拒絶しているような彼女の悩み、あるいは理由、何が何やら気になって仕方ないですね。

hReview by ゆーいち , 2007/12/28