白銀のローレシアン―願う少女と迷い糸

2009年5月31日

stars ――俺には見える。糸がしっかりと見える。きっと、これは俺とお前を結ぶための糸だったんだ。

不思議な夢を見たことをきっかけに、天地武実には奇妙な能力が目覚めた。指先に繋がる糸を見る能力。それを自由に操ることで、他人の感情を変えてしまうことができる能力。面白半分に力を使っていた武実の前に現れたのは、生徒会長として学園に君臨する賀陽院黎子と、彼女に所有されているという銀髪の少女ローレシアン。強引に黎子の臣下となる誓約をさせられた武実は、ローレシアンを預かるように言いつけられて……。

突然、神秘と呼ばれる異能に目覚めた武実が調子に乗っていたら恐いひとに目を付けられて大変な目に遭う、ある意味自業自得なお話。っていうか、武実にしろ、黎子にしろ、主役級のキャラの性格の歪みっぷりがなんとも受け入れられない感じがしてしまうと、もうアウトかも知れませんが。この厨二臭さに耐えてこそ、か。

そんな感じて、神秘を生み出す根源となるローレシアンを巡り、怪しげな宗教団体の刺客とドンパチやらかすところまで発展していくんだけれど、この危機感のなさ、というよりも敵方のうっかりさはシリアスな雰囲気台無しにしてないのか……?

運悪く巻き込まれてしまったヒロイン――と思っていたんだけれど──な月鶫嬢の意味深な態度も、実はかなり色ボケな理由からによるものだったし。やぁ、序盤のほわほわした感じで行くかと思っていたら普通にバトルになってしまったんだけれど、バトル要素を前面に出すほど燃え展開というわけでもないし難しいところ。

あー、でも微妙に百合ぃな展開があったりしたんで、もう、そっち行っちゃえよ、よか思わないでもなかったり。もともと活躍してるフィールドが美少女文庫だったりするんだから、もうちょっとお色気増量でお願いしたいところです。

hReview by ゆーいち , 2008/10/12