僕は自分勝手です。あなたの想いに、今は応えられないのに、それでも僕は、この道の方にあなたが来てほしくなかったんです。全部壊してでも、戻ってほしかった。幸せになる方法は、心から笑える方法は、きっと他にも必ず、あるはずなんです……。
胡蝶の宮・蝶間林典子にの前に突然現れた許嫁! けれど、淡谷雪国(ただし中身は舞姫)へ思いを募らせる彼女は、あろう事か舞姫(ただし中身は雪国)へ無茶な相談を持ちかける。「どうかあたくしのために、雪国さんに変装して!」 先日の一駿河さんからの拒絶の言葉のダメージも抜けきらないというのに……。もはや自分が誰だか分からなくなりそうな入れ替わり学園生活、絶賛泥沼化中!?
うはー、これはまたさらに人間関係、恋愛関係がこんがらがってきましたね。
胡蝶の宮が想いを寄せる雪国が誰なのか、そして、一駿河さんが気になっている舞姫があるいは雪国が本当は誰なのか、ということが絶妙に混じり合ってどちらも存在しない架空の淡谷雪国 & 舞姫像を作り上げつつありますね。
その混沌の口火を切ったのは、舞姫とのライバル関係にありつつも、入れ替わりが発生してからは良好な関係に変わりつつあったソロリティトップの胡蝶の宮。女装している雪国に、さらに男装してほしいなんて無茶なお願いも、彼女の舞姫という生徒会長に対する気持ちがずいぶんと軟化しているからがゆえなんでしょうね。雪国との接点が生まれたことで、舞姫もむげにできなくなったじゃらというか、あるいは立場に関わらず舞姫という存在と向き合えるようになったからというか。まぁ、彼女が想いを寄せている雪国とほぼイコールな存在なんだから、敵愾心が殺がれたって不思議じゃないんでしょうけれど。
ああ、けれど、そんな胡蝶の宮をお姉さまと慕い、その恋路を応援しようと思う一駿河さんの心はどんどんと乱れていくばかり。前回の雪国からの告白めいた問いに返した言葉、そして今、彼女が気になっているのは一体どちらの誰かさんなのか、それを考えると、胡蝶の宮と恋の鞘当てに発展してしまいそうで、今の一駿河さんには、誰を切り捨て、誰を選ぶのかなんていう選択は、答えの出せない問いにしか思えないんでしょうね。
こと、恋愛方面においては、立場を考えつつも自分の気持ちを貫く強さを見せた胡蝶の宮とは対照的に、悩み苦しんでいる一駿河さん。彼女の周囲が、彼女と一緒にいる舞姫の秘密に気付いたようだし、今まで雪国が彼女に対して積み上げてきた裏切りとも取られかねない嘘が暴かれる展開になりそうで、心が痛いですね。これでもかと苦しみ続けている彼女にも、そろそろいい目が訪れても良いのですけれど……。
hReview by ゆーいち , 2009/07/11
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