僕は友達が少ない〈3〉

stars ……その発想はなかった……携帯電話はカラオケ屋を探すためだけの道具ではなかったのか……。志熊理科……貴様を天才だと認めざるを得ないようだな……。

友達作りを目的とした残念な部『隣人部』が誕生して一ヶ月。努力の甲斐もなく、羽瀬川小鷹たち隣人部の面々は誰一人友達ができることなく夏休みを迎えてしまった。様々なイベントを経験し、友情が深まる――リア充たちがますます繁栄する季節、夏。来てしまったものは仕方がないということで、まだ見ぬ「友達と一緒に楽しく過ごす夏」の予行演習のためにプールに行ったり合宿をしたりする隣人部のメンバーたち。果たしてその成果はあるのか、そもそもそんな練習に意味はあるのか……!? 露出度アップなのに残念度もアップの残念系青春ラブコメ第三弾、夏こそホットに残念!

[tegaki font="mincho.ttf" size="24″]夏だ、海だ、合宿だ![/tegaki]

隣人部の友達を作るという目的を、部員の誰一人として達成できずに迎えた夏休み。まさにリア充の季節を謳歌しようと、部長の夜空に引きずられるように、夏らしいイベントにチャレンジするけれど、そこはやっぱりいつもの残念な面々。どうにもこうにもうまくいかない感じににやにや。本当に「普通」という言葉がほど遠いひとたちです。

とはいえ、部活内での友情と認めたくない友情は着実にはぐくまれているような気も。当人たちは決してそれをそう呼ばないだろうけれど、携帯電話の番号やらメルアドやら交換したり、たいしたこともない内容をメールしたりって、それはもう、そこら辺にいるお友達のつきあいですから! 空回り暴走気味な星奈は隣人部に入ってからゲームばりばりやってるから携帯くらい持ってるだろうかと思ったら、とんと縁がなくて、そして機種を選ぶ際に小鷹とお揃いにしてみたりと、アプローチも積極的になってきてますな。けれど、それが届かないのが、肉クォリティ……。逆に自分の恥ずかしい格好見られたりと、相変わらず損な役回りを担わされているなあ。

前巻のラストで、星奈のご自宅にお呼ばれして、何の冗談かと疑う間もなくお父上とご対面。両親同士の付き合いがあったせいか、小鷹の父親との友情を思い出すかのように小鷹と会話する星奈の父親・天馬氏。しかし、なんで彼の名前はあんな読みになってしまったのか……。親子そろっていろいろと、ねえ……(笑)

そんな夏の思い出をたくさん作りつつ、あっという間に新学期。星奈と小鷹の距離の近さがこれまで意識させられていたけれど、本来のヒロイン(?)な夜空の方も最後の最後ですごい行動に出てきましたね。彼女の表情が、そう語っているように、その決断はまさに一世一大のものかも。忘れていた苦い思い出を呼び起こされた小鷹は、これからどう接していくのやら。そして、ふたりが昔そうであったかのように、友達であると認め合ったとしたら、隣人部の行く末はどうなるのでしょうかね?

hReview by ゆーいち , 2010/04/09

僕は友達が少ない〈3〉

僕は友達が少ない〈3〉 (MF文庫J)
平坂読
メディアファクトリー 2010-03