IS〈インフィニット・ストラトス〉 3

stars なんていか、世の中って結構色々戦わないといけないだろ? 単純な腕力だけじゃなくて、色んなことでさ。そういうときに、ほら、不条理なことってあるだろ。道理のない暴力って結構多いぜ。そういうのから、できるだけ仲間を助けたいと思う。この世界で一緒に戦う――仲間を。

夏の臨海学校を前に気温と恋のバトルは急上昇! 魅惑の水着姿にくわえ、あの手この手のドキドキアプローチにさすがの一夏もチェックメイト!? そして、ついに箒の専用機・紅椿がその姿を現す。「私が天才の束さんだよ、はろー」 ISの生みの親にして天才科学者・篠ノ之束も登場し、物語はさらにヒートアップ! そんな中、軍用IS・銀の福音の暴走事故が勃発。一夏をはじめ専用機持ちの面々は事態の収拾へと向かうのだが――。『強さ』を問う、ハイスピード学園バトルラブコメ第三弾! 疾風怒濤の戦闘開始!

[tegaki font="crbouquet.ttf" color="Navy" strokesize1="6″ strokecolor2="Navy" strokesize2="4″]ひと夏の思い出 in 臨海学校[/tegaki]

臨海学校を目前にした日からスタートする本巻。ただでさえ開放的になる夏に、海と来たらもう、テンション上がりまくりの女性陣と、圧倒される一夏の図。前巻で登場したラウラのおかげで、一夏を巡る恋のバトルはさらに加熱の一途をたどって、他者より自らが先んじようと、あらゆる手を使ってアプローチ。けれども、当の鈍感な一夏は、そんな努力をあざ笑うかのように、まったく動じることもなく――ってこともないけれど、ドキドキなイベントに巻き込まれても、そこから恋愛フラグが立つような予感を全くさせてくれないという、なんとも女ゴロシな唐変木さですな。

雰囲気的に一歩リードしてるのは、やっぱり寝食を共にしたシャルなのかなあ? 男として接した感に培った友情と、正体を明かしてからの女の子としてのギャップは、ずるいくらいに魅力的かな。むやみやたらに積極的でもなく、あるいはツンの度が過ぎて肉体言語に訴えかけるような過激さもなく、ぱっと見、淑女な彼女の普通さがとてもありがたく見えることがありますね(笑) そうはいっても、くせ者揃いのこの作品のヒロインのひとりだけ会って、脳内でめくるめく展開する妄想とかを見るに、結構な耳年増な感じもしますけれど!

一方、一夏の第一の幼なじみである箒は、これまで見せ場らしい見せ場ももらえず、専用機持ちの少女たちの陰に隠れていた感もありましたが、今回登場した実姉・束の手による最新鋭機・紅椿を手にしたことで、ようやく IS 乗りとしての格が、他の子たちと同等になったといったところでしょうか。他の IS を凌ぐスペックを持つ紅椿、待望の専用機を手にしたことで浮かれる彼女にタイミング良く降りかかってきた初の実践。軍用 IS 、銀の福音との戦闘では、有頂天になっていた彼女に冷や水を浴びせかける戦いの展開と、一夏の言葉。力を手にしてもそれを他者を守るために振るおうとする一夏と、それに呑まれかけた箒、幼い頃の思い出の中にあるまま、変わらぬ少年の姿を見て、彼女の中でも何かが変わったような気がしますね。

期せずしてチャンスを得た、辛勝の後のご褒美のようなささやかなデートでは良い雰囲気になるも、あと少しというところでやっぱり邪魔が。ああ、そう簡単に誰かとくっつくことができるとは思いはしないけれども、せっかくの美味しい機会、活かせてあげられなかったものか! その後のドタバタはラブでコメな賑やかさで楽しいんですが、これじゃあ、誰かに対して抜け駆けなんていうのは当分無理そうな感じですねー。

そして、一夏たちとは異なる場所で、語られるのは IS が世に産み落とされたかつての大事件の真相。一夏の姉の千冬に、箒の姉の束、大事件の中心人物をともに身内に持つ二人が、これから引き起こされそうな事件に巻き込まれていくのは想像に難くないですね。ジョーカーにしてワイルドカードな規格外な人物たちの手のひらの上で頃がされたままな感じの一夏と箒ですが、果たしてこれからどんな事件が彼らを待ち受けているのでしょう?

……そして、また、なんかだか新キャラが登場して終わったんですががが。まだ増えるのかー!!

hReview by ゆーいち , 2010/04/13

IS〈インフィニット・ストラトス〉 3

IS〈インフィニット・ストラトス〉 3 (MF文庫J ゆ 1-3)
弓弦イズル
メディアファクトリー 2009-12-22