さあ、壊そうクバツ! わからず屋どもに、誰が最強か教えてあげるわよ!
アイムと共に街の悪魔召喚事件を解決した九罰。
しかし、彼の平穏はあらゆる面で未だ訪れない。再び天草国教庁からエクソシストが九罰のもとへ派遣されたのだ。そのエクソシストは、柴燐と名乗り、なぜか勝手に九罰家の風呂に入り、全裸のまま話をしようとする天然少女で……!?
そんな破廉恥騒動で、妹・七罪の非難を受ける中、九罰は燐から驚愕の事実を知らされる。なんと今度の悪魔召喚事件の容疑者は、親友の羽堂征重郎だと言う。そして、その悪魔の被害が七罪にまで及び……!!
新たなエクソシスト、新たな悪魔召喚者、そして……。
ひょんなことから悪魔憑きとなった九罰。彼に憑いているアイムとともに関わった、前巻の事件で、彼は誰にも言えない、それこそ墓まで持って行くくらいの覚悟で、一つの秘密を抱え込んだ、そのはずなのに。あっさり、バレてしまってやんの!
ちょっと待ってほしい。そこは、シリーズの佳境も佳境、お互いの信頼関係が試される、大事な嘘だったんじゃないのだろうか。前巻で秘して生きていこうと固く誓ったのに、あれよあれよという間に、その嘘を白状してしまうとか、男らしくないぞ、九罰。……まぁ、彼自身、結構、バイオレンスな日常に身を置いているわりには後ろ向きな性格をしているような気がしなくもないけれど。その嘘自体は、嫌がらせじみた敵対者の行為であるわけで、いつまでも隠し続けておくのも決まりが悪かったりしたんだろうけれど、今回の事件程度で生まれた九罰とアイムの間のわだかまりの解消に使うには、とっておき過ぎたんじゃないのかなあ、と。
さて、新キャラ。エクソシストの柴燐と、スポットが当たった九罰の親友・羽堂。そして今回の渦中の悪魔ともいえるフォラス。冒頭から悪魔憑きの悪さは羽堂の仕業とあからさまにほのめかしていたおかげか、その裏には何かあるんだろうなあとか深読みしながら読み進めたせいか、真相自体は良くあるミスリードを誘う構成、というかそこまで複雑怪奇な流れではないので、素直に読めば分かる感じかも。むしろ、九罰と羽堂の間の交戦が何度も繰り返されたりして、その部分でかったるく感じてしまったり。というか、負けすぎ、主人公。むしろ、荒っぽく、独特な言葉遣いの羽堂の信念の方が、主人公めいていたのかなあ。本当のことを素直に言えないひねくれた性格とか、自身の芯としている決意とか、正義の味方を自称するに足だけの覚悟を見せてくれてます。が、やっぱりその不器用さ、あるいは独断専行さは損だよなあ……。次巻以降の展開では、割とあっさりと噛ませ犬扱いされそうなポジションだけに、頑張って生き抜いてほしいですね。
逆に、燐の方は、前巻のルカに比べるといまいち影が薄いような。世間知らずにして微妙に空気の読めない性格と、はた迷惑なキャラで、自分の使命至上主義というわかりやすい設定。結局、最後は美味しいところをルカに持って行かれたりして、あまり活躍の場がなかったんですが、再登場の機会は果たしてあるのやら? 今回みたいに、帰宅したらいきなり全裸、な展開で再会しそうな気もしますが……。
エピローグ。国教丁の教皇が繰り返しつぶやく「コドク」の言葉、作中のキャラが蠱毒に思い至らないのはご都合なのか、あるいはこの世界観の成り立ちゆえなのか果たして。悪魔同士を食い合わせて何を企んでいるのやら? その辺のこれからおいおい語られていく物語の中心になるのでしょうか。
そして、今回ほとんど出番のなかった、九罰の妹・七罪の扱いはいったいどうなる!?
hReview by ゆーいち , 2010/04/21
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