そういうわけで、先生、今日からモンスター教師になることにしました。新しく生まれ変わった先生をよろしくお願いしますね。
なんだかすごく久しぶりにこのシリーズを読んだ気が。イラストが変わったというのは聞いていましたが、新装版は購入していないため、新イラストの戸部淑さんによる新しいデザインは今回が初見です。今までの雰囲気とはやや変わった感じがしますが、これはこれで物語の空気に合っているように思います。「わたし」のデザインとかも等身上がったりしましたけど今までの絵本テイストのデザインから比較的現代風の萌え要素をプラスした印象になっていませんか。妖精さんのハイライトのない目は微妙に怖い雰囲気で、今回のエピソードとか妙にマッチしてややホラーチックに……? でもまあ、やってることはいつも通りの「衰退しました」で、ブラックなネタも交えつつ、滅びへ向かう人類のほのぼの衰退ライフを堪能するとしましょうか。
妖精さんたちの、ちいさながっこう
[tegaki font=”crbouquet.ttf” color=”saddlebrown”]わたし、モンスター教師になります![/tegaki]
なんという、現代の日本の教育制度に一石を投じる問題作(笑)
生徒のわがままな振る舞いによるクラス崩壊、モンスターペアレントの理不尽な振る舞いと、教師視点から見ると本当に難儀な職場であることがひしひしと伝わってきますね。たった3人の最小規模なクラスでさえ維持するのがこれほど大変だとは……。「わたし」が壊れておかしなことになるのも仕方なしという所ですね。見ている方としては、好き勝手フリーダムな子や親に一泡吹かせる展開は胸がすく思いなのですが、その後の子供たちのネバーランドへの逃避行とか見ると、やりすぎはやっぱりいけないな、と今さらながらに思ったりもするのです。
大人になる前の子供がゆえの自由さを受け止めて、正しく導く度量が試されるお仕事ですね。こんなの速攻ギブアップですが。
微妙に腐った要素とか入ってますが、A・B・Cたちのこれから先の三角関係はいったいどうなるんでしょうね?
人類流の、さえたやりかた
うーん、これは見事にやられたなあ。「わたし」は記憶を失い、たった一人で放り出され、帰り着いたクスノキの里はなぜか壊滅。失われた記憶の回復と、里が滅亡した理由を探りながら追っ手と交渉しながら進行する物語。
ずいぶんと雰囲気が違うなあと抱いた違和感は決して気のせいではなく、物語の最後で明かされる事実には唸らされるばかり。
ネタバレするとおもしろさが台無しになるストーリーなので説明がしづらいですが、これは最後まで読んだら、また初めから読み直したくなること請け合いの良作ですね。
何気に今まで使っていた設定がまた活用されたり、このネタ忘れてないんだなあと失礼ながら感心したりと、7巻まで続いてきて世界観が広がったからこそ使えるネタなんだろうなと思ったり。人類が滅び行く道すがら、こういう奇妙なイベントは妖精さんとの共存関係を続けながらあちこちで起きているのかもしれませんね。
hReview by ゆーいち , 2012/10/22
- 人類は衰退しました 7 (ガガガ文庫)
- 田中 ロミオ 戸部 淑
- 小学館 2012-07-18
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