そうですね……まずは決闘でもしてみようと思います。わたしが自分で決めた相手と――今度はわたし自身の意志で。
長い銀髪に小動物のような愛らしい見た目の少女、刀藤綺凛。彼女こそ、若冠13歳にして星導館学園の序列第一位、《疾風刃雷》その人だった!
彼女に辛くあたる叔父を見咎めた一件で、綾斗はなぜか綺凛と決闘をするはめになってしまい――
「天霧先輩は優しいですね。……でも、わたしも負けるわけにはいかないのです」
――神速の剣が交錯し、アスタリスクに新たな火華が咲き誇る!
最高峰の学園バトルエンタ、加速とどまらぬ第二弾!
[tegaki font=”mincho.ttf” size=”36″ color=”#C0C0C0″ strokesize1=”4″ strokecolor1=”black”]『学園最強』に挑め![/tegaki]
第2巻にしていきなり主人公が所属する星導館学園の序列第一位が登場。しかもそれは齢13にして、綾斗をも凌ぐ嫌疑冴え渡る小動物系ヒロイン・刀藤綺凛という狙い澄ましたような属性のキャラ。あざとい! さすが作者分かってる!
圧倒的な実力を持ち不敗を誇った綺凛ですが、彼女が戦う理由というのは、綾斗やユリスのそれに比べるとやや主体性に欠けるというか、どうしようもないから、彼女の叔父の言うなりになっているという諦めに支配されているのが見方によってはうじうじしてるなあ、なんて思えてしまうかも。けど、綺凛自身の性格が、自分の力におごることなく謙虚で優しく、そして妙に弱気という顔を見せているせいか、やたらめったら後ろ向きな感じでないのが救いですね。むしろ、彼女を道具として利用しようとしている叔父のゲスっぷりが素晴らしくて、綺凛が直接的に避難するのもはばかられるという。
そんな綺凛のエピソードを第2巻を一冊まるまる使っているため、綾斗とユリスの関係はにっちもさっちもいっていない感じ? 綾斗のパートナーは自分だという、その一線はなんとか守り通すことができましたが、こと、綾斗との関係においては、幼なじみキャラの紗夜と比べて過去の思い出という面で劣勢にあり、また今回登場した綺凛と比べては剣術という共通項がないために話題探しに苦労しそう。それでも、今の綾斗が優先する相手というのがユリスだということに安心できていれば良いのに、それもまた彼女の性格のおかげか、なかなか難しそう。学園でもトップクラスの実力を自負するとはいえ、自分の敵わない相手がはっきりいると自覚している以上、主人公に対して自らの実力が足りないということをはっきりと突き付けられるような事件が起きたとしたら、それがユリスにとっての大きな壁となりそうですね。
そして、それはすぐにでも訪れそうな予感。学園内の力比べに終始しているばかりでは、《星武際》を勝ち抜くのは難しそう。前巻の事件の黒幕であるアルルカントにおいて、すでに実権を握っているかのように自由に振る舞うエルネスタと、カミラという新キャラが登場。エルネスタは陽気な性格で危険な発言をしまくる、なかなか底が見えない天然で天才型なキャラですね。笑ったままとんでもないことをしでかしてくれそうで、その行動力の一端もまた垣間見ることができましたが、これもまだまだ序の口の模様、これまでの《星武際》の常識を越えた手段で脅威となりそうな流れがすでに見えてますしねえ。一方のカミラと紗夜の因縁もまた興味深いというか。沙耶の父親がいったいどんな思想の元、紗夜に煌式武装を託しているのかとか、時代遅れと言われてるけれど、それって明らかなパワーアップフラグだよねとかありますが、サブキャラの因縁まで回収していくとなるとさらに大変なことになりそうですね……。
まっすぐに戦い、勝利を目指す主人公チームとは裏腹に、知謀策謀で戦い抜くくせ者の登場で、単なる強さだけでは勝ち抜くのは簡単ではないとしみじみおもわされる《星武際》。冒頭で行われた他校のトップ会談を見る限りでも、誰も彼もが腹に一物ありそうな人物揃い。彼らが障害として立ちはだかってくるのはいつになるのやら。そもそも、星導館学園の生徒会長のクローディアさんからして多少なりともうさんくさいという誰が味方なのか判然としない混然とした状況。物語が本格的に動き出すのが待ち遠しいですね。
hReview by ゆーいち , 2013/01/27
コメント
コメント一覧 (1件)
学戦都市アスタリスク 02.銀綺覚醒 レビュー
アルルカント・アカデミーに貸しを作るクローディアの交渉で、新型煌式武装(ルークス)の共同開発という事に。
しかし、アルルカント・アカデミーの暗躍は続き…
6学園の生徒会 …