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柴村仁 Tag Archive
プシュケの涙
絵は枯れないもの。それで、あなたが少しでも喜んでくれたら、嬉しい。
夏休み、一人の少女が飛び降り、自殺した。それを目撃した榎戸川は、変人と名高い他クラスの由良から、彼女の自殺の真相を探るための協力を求められる。果たしてそれは自殺なのか、それとも? ふたりが辿り着いた真実とは……。
これはきついです。そして、それ以上に何かが心を打ち据える。柴村仁を見限らなくて良かったと、そんな思いを抱かせるくらいに、これまでの作品とは毛色も読後感も圧倒的に違った物語でした。
けれど、それでもこの作品は柴村仁の手によるものであると感じます。『我が家のお稲荷さま。』で描かれたような優しい空気が、この作品にも、ごくごく短い、まぼろしのような時間ではありますが、確かに存在し、そしてそんな柔らかさ、暖かさ、ほんの少しの幸福があったからこそ、容赦なく読む側の心をえぐり取るような作品に仕上がっています。
決してハッピーエンドではない結末。けれど、そこに至るまでにあった、彼と彼女の関係と想いの交わりを思うと、この物語はそれでも不幸一色で塗り固められた物語ではないのではないかと思えてしまいます。もちろん、彼は残され、彼女は逝って、そして、それに関わった「僕」らは、自ら取った思慮のない行動に見合うだけの代償を支払わされています。
そんな後味の悪い幕を迎えるこの物語ですが、だからといってふたりの築いてきた時間がなかったことになるわけでもなく、それゆえに、後半の物語がどうしようもなく愛おしくて、最後の彼女の言葉が深く深く心に響くのでしょうか。
読了後に作品の挿絵を見てみると、いろいろな感情がわき上がりますね。表紙のイラストはラノベ向きでは決してないですが、描かれたふたりの、繋がれた手、その意味を考えるとこの絵以外には考えられなくなってしまいますね。
優しい結末の物語ではありません。けれど、この作品には、言葉にできなかった想い、絵に託された想い、空を目指す蝶の翅の色彩と花束と、たくさんの優しさが込められています。
hReview by ゆーいち , 2009/01/18
- プシュケの涙 (電撃文庫)
- 柴村 仁
- アスキーメディアワークス 2009-01-07
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ぜふぁがるど
突然変身ヒーローになっちゃった!?
菅沼宙は、幼なじみの安芸野鳴を、異世界からの魔手より護る騎士・牙臣ゼファガルドへと変身するのだ!! なんだかよく分からないままに、見知らぬ世界の陰謀に巻き込まれる形になってしまった宙と鳴の明日はどっちだ!? 変身ヒーロー、こっそりやってます。
日曜のスーパーヒーロータイムを彷彿とさせるような正統派の変身ヒーロー物語。ただ、変身する主人公は、微妙にガラが悪くて、正義への使命にも燃えていないけれども。成り行きで、鳴を護る騎士としての運命を背負わされてしまった宙だけれど、彼女を護りたいという気持ちはあれど、その心根は良くある高校生で、戦うのはかったりいし、そもそも変身ポーズに照れがあるし、前口上などもってのほか。ヒーローらしいヒーローじゃないですね。
そして、戦い自体も、なんだか気の抜けるようなまったり感が漂ってます。敵も味方も、相手を殺めるという意識が希薄なのか、その内容はかなり命がけなのかもしれないけれど、なんとなくほのぼのとした雰囲気を感じてしまいます。ちょっと方向性がはっきりしないんですが、各章に戦いのシーンを入れてる割に、危機感がないんですよねえ。
異世界の都合に、面白いように翻弄されているふたり。宙はともかく、鳴の方は自身の運命など知るよしもない状態。この先どうやっていくのやら。全体的に盛り上がりが感じられないのですが、ここから様々な思惑が、絡み合っていくのか……?
hReview by ゆーいち , 2008/03/16
- ぜふぁがるど (電撃文庫 し 9-9)
- 柴村 仁
- メディアワークス 2008-02-10
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我が家のお稲荷さま。〈7〉
1年ぶりの新刊はほのぼの短編集 癒されます
「長月の章」「神無月の章」「霜月の章」「師走の章」「睦月の章」と、それぞれの季節らしい短編を収録した第7巻。
どれもこれも、作品世界の暖かさ柔らかさがたっぷりと染み渡っていて、長編シリーズとはまた異なった趣で、どっぷりと雰囲気にひたれます。短編らしくノリも軽めになっていて、地の文でのツッコミとか、パロディ要素もふんだんに盛り込まれていて所々でクスリとさせられます。火サスの帝王ネタとかいいのか、これ、みたいな(笑)
長編だと出番少なめな佐倉さん。今回は彼女をメインに据えたエピソード、「師走の章」がなんともニマニマ。昇との体重差△Kgな彼女が必死こいてダイエット。それが報われたかと思ったら、その直後に昇に恥ずかしい音を聞かれてしまい(笑) いやいや、空腹で壊れてしまった佐倉さんがかわいすぎで、その分本音に近い部分で昇と会話できて良かったねとも思えるお話。このまま良い感じの関係に発展していってほしいなあ。
アニメ化も決まって、当面はシリーズ継続は安泰そう。こういうほのぼのストーリーは貴重なので、また新しいエピソードで心を温めていただきたいですね。
hReview by ゆーいち , 2007/11/18
- 我が家のお稲荷さま。 7 (7) (電撃文庫 し 9-8)
- 柴村 仁
- メディアワークス 2007-10
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E.a.G.
『我が家のお稲荷さま。』とは大きく雰囲気の変わった、あるいは、ライトノベルらしい作風の作品。もっとも、今後の展開を見据えてなのか、作中にて設定が語られることがほとんどないので、様々な造語の意味を想像するしかないのが非常にやきもき。そもそもタイトルの意味がどこから来てるのかがイマイチピンと来ないので……。読み込みが浅いのかな。
殺伐とした世界、主人公からして、その経歴が救いもなく、現実に溺れてるような感じで。またヒロインのキアラも出番自体が最初と最後という感じで、ふたりの関係の微妙さとか、この先の発展とか、そういった部分の描写より、バトル分の描写に力が入っている印象。そういう方面への挑戦なのか。
既存のシリーズも放置せずに、新シリーズとして並行して進んでいくのなら重畳。氏の描く世界の優しさは好きだったけど、こういう殺伐とした世界もなかなか。でも、何か突き抜けて印象に残るという部分がないのは、やは物足りないかな。
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我が家のお稲荷さま。〈6〉
相変わらずまったりとした話の展開ですね。事件に巻き込まれる当事者にしてみれば、かなり切羽詰まった状況に違いないと思えるのに、淡々と起承転結しています。この平坦さ加減がこの作品ならではというか。
毎度毎度、物の怪たちが舞台となる鈴ノ瀬の街を訪れるのは、高上家の──三槌──の当主に顔を繋いでもらうためという明確な理由が語られたりして、今後も変な物の怪やらがわしわし去来するのかしないのか。
クーさんやらコウさんやらの高上家の居候’sは本筋に絡んでるのに、佐倉さん出番なさ過ぎ。スニーキングミッションも失敗してしまって良いとこなしの第6巻。彼女のフラグは果たして進行するのやら?
- ライトノベル | 我が家のお稲荷さま。 | 柴村仁 | 読書感想 | 電撃文庫
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