さよならピアノソナタ〈2〉

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stars たぶんナオはわかってない。自分で考えて自分で見つけて。そうしてくれないと、あたしも困る

真冬が帰国し、民族音楽研究部に入部して初めての夏。神楽坂先輩はとんとん拍子に夏合宿、その後のライブへの参加と、立て続けにスケジュールを埋めていく。部内での自分の立ち位置に自信の持てない真冬。そんな彼女に先輩が命じたバンド命考案の大役。すったもんだの末、真冬から出されたfeketerigó──フェケテリコ──、その名前に込められた意味を、彼女の想いを、ナオはまだ知らない。

[tegaki]くはーーー!![/tegaki]

今回も素晴らしい物語でした。相変わらず音楽シーンの躍動感は、その曲を知らなくても描写から伝わってくるようだし、曲に込められたちょっとした蘊蓄も、登場人物たちの言葉と同じかそれ以上に、彼らの内面を語ってくれているし、何より非常に美しいお話でした。

ナオのおかげで、民族音楽研究部に居場所を見つけた真冬。けれど、ナオは真冬のそんな気持ちに気付く素振りもなく、メンバーの千晶や神楽坂先輩も、ナオに対しては単なる部活仲間以上の感情を抱いているようで。男1:女3という、恋愛関係に陥ったら修羅場回避不能な陣形で、けれど、ナオの鈍感さが、全てを台無しにしているのか、あるいは微妙な均衡を保たせているのか。

なんでもできそうな神楽坂先輩も、過去にあったバンドの集合離散の辛い思い出が尾を引いてるみたいで、初めて見せた弱さみたいなものが、新鮮で、切なくて。超然としているようだけれど、彼女も恋からは逃れられないのか。なんか、どんどん泥沼化していきそうだけれど、みんなが幸せになる道はあるのでしょうか。
ラストの演奏のシーンは、やっぱり素晴らしい。そこに至るまでの、繋がっていると感じられる演出の連続が、最後の最後で四人が一体となった演奏を、さらに盛り上げてくれます。その描写は最低限だけれど、ナオが、真冬が、千晶が、神楽坂先輩が、創り上げた空間の熱狂は、切なくなるくらいの感動を与えてくれました。いや、本当、圧倒させられます。杉井光の文章、どんどん好きになっていってます。

バンド名、feketerigóの意味も憎らしいくらいで、ナオと真冬が大切にしているものが、同じものだということが分かっただけで、なんだか泣きたくなってしまいました。

そして、お互い、音楽から始まった繋がりが、それを越えて、互い同士を必要とするような関係に発展していったら素敵ですね。ナオも真冬も、自分の気持ちを言葉で伝えるのは苦手で恥ずかしくて不器用だけれど、きっと、音楽の中でなら素直に繋がれる。そして、それがいつの日か、音楽とは違った形で通じ合うことができたら、もっと素晴らしいんだろうなあ。
……まぁ、彼らの四角関係は、それを簡単に許すほど、温いものではないでしょうけど。この調子で、もっともっと素敵な物語を見せてほしいです。

hReview by ゆーいち , 2008/03/23

さよならピアノソナタ (2)

さよならピアノソナタ (2) (電撃文庫 (1570))
杉井 光
メディアワークス 2008-03-10

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