ムシウタ〈09〉 夢贖う魔法使い

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stars 始まりの虫憑き・αを巡る戦い 全ては金で決まるのか?

虫憑きの力をビジネスに利用しようとする赤瀬川七那は、“むしばね”のリーダーとなった詩歌の元を訪れる。現スポンサーである宗像の失踪と、かつて発生した虫憑き発生の転機となった“エンクロージャー”“バブル”“パラダイムシフト”という隠匿された経済現象。そしてそれらの最奥に潜む“始原の虫憑き”αの存在を巡り、七那は途方もない金額が舞うオークションに臨む。

今回は“むしばね”サイドのお話。リーダーとして心許ない詩歌を必死にサポートする周囲の人間と、そこに新たな変革をもたらした七那により、ようやく新生したといえる状態になったのではないでしょうか。天然で空気読めない詩歌も、リーダーらしい自覚が少しは芽生え、戦うための覚悟らしいものも決め、新しい理想の実現に向けて邁進していくのか。

物語の中核にあった、始まりの三匹の、さらに裏にあるとされる、“始原の虫憑き”αを巡っての争いは、これまでの虫憑き同士の戦いから、顔の見えない相手とのオークションによるマネーゲーム。他人を信じず、金にのみ愛された七那の、頂点を極め、けれどそれゆえ他人を信じられなかったことによる転落の軌跡の物語。二転三転したオークションの結末と、それに絡む人々の“金”を巡る信念の違い、知謀知略を尽くした心理戦と、これまでにない種類の熱い戦いを感じました。

大助も前巻でかなりボロボロになりつつも、戦線復帰した模様。全力を出せない、最強の伝説のみが一人歩きをしつつある孤独な虫憑きである彼と、詩歌の(一方的な)再会はなんとも切ない感じです。それぞれが信じて歩む道が、それほど遠くない未来に交わるとき、信念の実現のために戦うということを決意したふたりがどのように相対するのか、一筋縄でもいかなさそうな雰囲気ですね。

ただ、外伝のbugとのリンクがどんどん密接になってきているので、本編だけを追っている人は厳しそう。結局リリースされた順に読んで行けっていうことなのかなー。
あと、登場人物の関係がどんどんワケわからなくなっていくので、やはり前巻は手元に置いておいて、さらっと読み直してから読まないと結構辛いですね。

物語が大きな音を立てて動き始めたことを感じさせるエピローグ。詩歌とαの出会いが何を生み、世界を変えていくのかが、とても楽しみです。

hReview by ゆーいち , 2007/10/24

ムシウタ9(9) 夢贖う魔法使い

ムシウタ9(9) 夢贖う魔法使い
岩井 恭平
角川書店 2007-07-01
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One Trackback to ムシウタ〈09〉 夢贖う魔法使い

booklines.net
booklines.net 2007年10月24日 at 19:52:23

[岩井恭平] ムシウタ 09.夢贖う魔法使い…

〝むしばね〟の支援をしていた宗方が失踪したときに、〝むしばね〟に接触してきたのは、若くして赤瀬川グループを継いだ七那だった。虫憑きを商品としてビジネスに使おうとしていた…

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