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プリンセス・ビター・マイ・スウィート

stars 女の子はスフィンクスなんです。謎かけに答えられなかった人を食べてしまうんです。むしゃむしゃ。

理由の分からない家出を繰り返し、クラスメイトから「魔性の女」と称される畠山チャチャ。そんな彼女と小学校からの付き合いである晴之は、彼女に惹かれつつも、その関係を踏み出せないでいた。しかし、ある日、晴之はチャチャの秘密を知ってしまい、その結果チャチャは晴之の前から姿を消してしまう。「首もぎ」連続殺人事件が巻き起こる京都の町の中、晴之はチャチャの捜索に向かうのだが……。

前巻がきれいに完結していたので、どんな風に繋ぐのかと思っていたら、登場人物総取っ替えできましたか。物語の主題である、タマシイビトとイケニエビトと、それに関わった人間たちを交え、ホラーテイストながらも、その中で描かれる恋と、その切ない結末はこのお話でも健在。決してハッピーエンドじゃないけれど、未来に繋がる道はしっかりと示されて、登場人物たちの意思によって、いくらでも幸福はたぐり寄せられるんだという、そんな強さも感じられました。

今回物語の中心にいる、チャチャと晴之の関係は、何についても一枚上手のチャチャに、晴之がからかわれたりする、そんな関係で。けれど、好きな子には意地悪したくなるという、お約束を実行しているチャチャの、それを感じさせない小悪魔的な言動や、それとは逆に心の中でこれでもかと語られる、晴之への恋ごころの対比がなんとも素敵で可愛いじゃないですか。

弟くんの満泰はチャチャの良いおもちゃ扱いで、ともすれば他者がドン引くくらいにいじられてるのに、彼からしてみれば姉なのに守らなければならないなんていう、妙な義務感を抱いて、チャチャを思っているのが微笑ましいですね。なんか、ふたりの関係も姉弟というよりも、満泰がチャチャに淡い憧れを抱いているような感じがして、その微妙さもまた良い味付けでしょうか。ラストのアレにドギマギする満泰の反応を見ると、今後はチャチャを巡った三角関係がどこかで生まれたり……みたいな気がしないでもないですね。

タマシイビトとイケニエビトの関係も、仮説的な設定のお披露目がありましたが、この辺はぼかしておいても良かったのかなあ。ただ、前巻では、イケニエビトはタマシイビトに狩られるだけの悲しい存在という印象だったのに対し、今回の物語で、タマシイビトにもタマシイビトなりの悲劇があるということも知らされました。そこに、そのどちらでもない人間が絡んでくるからこそ、このお話みたいな避けられない悲劇的別れが生まれてしまうのかなあと。なんとも因果な組み合わせですこと。

前巻の登場人物たちもゲスト出演的に顔を出してきてるけれど、このお話が続くようだと、こういう人物の繋がりがどんどん広がっていくのかな。今回も、また別れは悲しいものだったけれど、こういう繋がりが生まれていけば、どこかで誰かが救われる、そんなハッピーエンドが生まれるかもしれない、そんな風にも思えますね。

hReview by ゆーいち , 2009/01/11

プリンセス・ビター・マイ・スウィート
プリンセス・ビター・マイ・スウィート (MF文庫J)
森田 季節
メディアファクトリー 2008-12
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