終焉ノ栞

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stars つまらない、この世の中は、この日常は、まったくもってつまらない。このつまらない世界を誰かがどうか、壊してくれないか。

終焉ノ栞 書影大

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> 突然の終焉ゲーム <  ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄ “――ひとりの裏切り者によってゲームは始まった。抜け出したければ下記の条件に注意をし、終焉を迎えろ。さぁて、楽しい終焉ゲームの始まり始まり――" ひとりかくれんぼ、ドッペルゲンガー、メリーさんからの手紙、猿の手……。 10年前に起きたと言われている禁忌「終焉ノ栞」を巡り4人の少年少女がとあるゲームに巻き込まれる。謎の手紙に書いてある「命令」を遂行し、都市伝説を完成させろ。さもなければ死ぬ。『それでは、史上最悪の後味をお楽しみください』

終焉ノ栞プロジェクトから生まれた小説版ということを買ってから知った私です。ということで、本編の感想は事前の曲やPVなどを把握してない人間の感想てことでひとつ。

都市伝説にまつわる怪奇譚のオムニバス形式なんですが、その根っこには、終焉ゲームという、逃れられない死のゲームが横たわっていて。裏切り者である「狐」を見つけ、殺さなければ決して逃れられないというそのゲームに巻き込まれ、悲惨な結末を向かえていく少年少女の姿を楽しめ……と?

これを読むだけでは結局誰が「狐」なのか、明かされないし、そもそも終焉ゲームの仕組みも分からないし、超常現象が彼らに実際に起きたことなのかそれとも誰かが見た妄想なのかも分からないという謎だらけの結末に頭をひねること間違いなし。

A弥、B子、C太、D音というオカルト好きなグループが好奇心から始めたお呪い。「終焉ノ本」そして「終焉ノ栞」を呼び出すというこっくりさんの儀式。半信半疑で行ったその儀式がとてつもない悪寒と共にそれらを本当に呼び出してしまったことから始まる悲劇。いるかいないかも分からない裏切り者の陰に怯え、死に怯え、逃れられない運命に翻弄され終わりへと向かっていく彼らの姿はちょっとしたホラーですね。事件の姿を四者四様の角度で見ていくことで、お互いが認識していない場所で何が起きていたのかのパズルのピースを埋めていき、この事件のあらましをある程度見通すことができるようになるのですが、決定的な部分は結局空白のままで終わってしまうのがなんとも……。

もっとも、このエピソードがすべて同じ時系列上で展開されているかという先入観からして疑った方が良さそうなことが、エピローグ部分でほのめかされていて、もしかしたらループ世界なのか、パラレル世界なのかとか想像がひろがりんぐです。最後の絶叫の主体が一体誰なのかというのも想像の余地がありますし、あるいは、それが「狐」のものだとしたら、その絶望はどこから来ているのかとか考えてみるのも一興かと。

そういう意味で、種明かしがされていないのが消化不良ととるか、あれこれ考えられて楽しいととるかでずいぶんと評価が分かれそうなお話。物語の構成自体、繰り返しの部分の描写がほとんどコピペだったりで水増し感があったりして、ちょっと冗長なところがあるので小説としての完成度よりも、このプロジェクトの世界観を切り取ったひとつの形として楽しむのが正しい、ファン向けの作品なのかも知れませんね。言うほど後味が悪いわけでもないので過大な期待をすると肩すかしかも知れませんが、この世界観への入り口としては非常に分かりやすいお話であると思います。

あとは個人的な「狐」予想なんかを。

あとがきとかを見ると、もしかしたら主要登場人物じゃないのかもとか思ってしまいますね。A弥とC太のエピソードからは、A弥が除外され、そして死亡の順番からC太とB子が除外され、最後に残ったD音もB子のドッペルゲンガー(?)によって殺されて、みんな退場してしまったという結末でもゲームが終了したという宣告がないのも気になります。「狐」に選ばれた人間が最後まで生き残るメリットも明示されていないので、自分が死んで他の皆を救うのか、他の皆を犠牲にして自分の命を拾うのかという究極の二択ゲームかなとも思ったんですが、友情話をぶち壊すにもやや弱い気がします。そんな中、主要人物以外で登場してくるキャラは名もなきモブが数名ですが、C太にニュースの速報で流れた匿名の被害者がA弥であると告げた同級生はどうやって被害者がA弥であると知り得たのかが引っかかります。C太の記憶が飛んでいるので時間の経過が日単位でありそうなんですが、それだとニュース「速報」で一報が流れたっぽい描写がおかしい感じがしますし、性別不詳な同級生の所在もC太やA弥の近所であることから犯行を目にすることも可能なのかなあとか考えてしまいますね。さすがに、こういう落ちは犯則な気もしますので4人の中から選ぶならやはり最後まで生き残ったD音なんですが、明確に命を奪われた描写のないB子についても怪しいまま。語り部である自分自身が偽物だと自覚ないまま本物のふりをしていたなんて展開はミステリとしてはズルい手ですが、これ、どちらかというとオカルト系の雰囲気ですしねえ……。一連の音楽作品を見るとまた別のヒントがあったりするんですかね。明確な答えが与えられるかどうかは微妙な気がしますが、コンティニューした後を描く続巻があるなら、答え合わせをお願いしたいですね。

hReview by ゆーいち , 2013/03/21

終焉ノ栞

終焉ノ栞 (MF文庫J)
スズム さいね/こみね
メディアファクトリー 2013-02-22

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