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ルナティック・ムーン Tag Archive
ルナティック・ムーン〈5〉
手の届かない月なんかより大事なものは、ちゃんとここに在る
純血種のみの世界へ回帰する。バベルの中でキャロル=ユルングスが目論む計画は最終段階を迎えている。ルナとシオン、そしてロイド。バベルを目指し集うひとびと。稀存種同士の戦いはさらなる悲劇を呼び、混迷の度を深めていく。生き残るのは、そして世界の行方は……、答えはこの戦いの果てにある。
完結。クライマックスの盛り上げ方がいまいちと感じるのは、レジミルでも思ったのですが、風呂敷を一気にたたもうとするのと、これまでの登場人物を退場させようとするのを、最終巻でやっちゃおうとするから駆け足感を覚えてしまうのかな。
ロイドとカロマイン、そしてルナとフィオナの戦い。前者は過去からの因縁の精算。そして、後者は、正直予想していなかったけれど、フィオナの人格、人形めいた彼女の非人間的な言動は、彼女の根幹から生まれていたのだなあというのは、どうしようもない救いのなさですね。フィオナが唯一抱いていた、嫉妬という感情がすべてを狂わせてしまったのか、彼女の中に姉の姿をかすかに見ていたルナの決断も切ないやら苦しいやら。
壊れてしまったイユは、最後の最後に再び家族となれそうな存在を得たのに、その後の追い打ちはきついなあ。エピローグで希望を持たせているから、そういう未来はいつか訪れるのかと、前向きに受け取ることはできましたが。
結局、世界は何も変わらず、けれど未来へ続いている道は、少しだけ明るさを取り戻したかのようなラスト。クライマックスのカタルシスはいまいちだったので、エピローグの余韻に浸りまくるまでに行かなかったのは残念だけれど。過去を受け入れ、今、隣にいるひとを愛し、明日へ進むために手を取り合う。そんな、ようやく手に入れられた、ささやかな幸せを噛みしめ、これからも、混乱の残滓の残る世界で生きていく。ささやかだけれど、ルナとシオンの物語のひとつの結末として、微笑むことのできるものでしたね。
hReview by ゆーいち , 2008/03/22
- ルナティック・ムーン〈5〉 (電撃文庫)
- 藤原 祐
- メディアワークス 2005-04
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ルナティック・ムーン〈4〉
大丈夫。私はあなたを……絶対に、拒絶しないから
フルブルーとの交戦の機会が増えている。ケモノを相手にするよりも何よりも、同じ人間を殺すという行為が、ルナたちの精神を削っていく。ロイドの策略によりエデンと分断され拉致されるルナとシオン。バベルの中、人知れず覚醒していく第七稀存種。そして姿を見せる第三稀存種。残酷な世界の真実は、いつも不意に人を打ち据える。
全滅ルートまっしぐらな印象がどんどん強くなってきている第4巻。そして、稀存種という人ならざる存在の生まれた理由。バベルが目指す世界の変革の方向。重苦しい雰囲気が漂う中、ルナとシオンの結びつきの強さだけが小さな救いに思えます。
自身の運命に絶望したロイド。彼の境遇をなぞるように生きながら、けれど間違えなかったルナ。兄弟のようなふたりの戦いの結末は割とあっさり気味で、むしろ、それ以前のシオンの献身の方にこそ心打たれましたね。ホントいい子だ。
エデンはその用をなさなくなり、バベル内部はその由来通り混乱に満たされ、狂気にも似た高揚感が、ひとびとを破滅へ歩ませていくようなラスト。その先にどんな救いがあるのか、あるいはないのか。結末まであと1巻。
hReview by ゆーいち , 2008/03/22
- ルナティック・ムーン〈4〉 (電撃文庫)
- 藤原 祐
- メディアワークス 2004-11
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ルナティック・ムーン〈3〉
──約束は、守れてる?
商品として変異種を売りさばく夫婦からの依頼で、エデンは乙種特別出動によるウェポンの派遣を決定し、そこにはシオンの姿もあった。一方、ルナはフィオナとともにとある調査に外界へ赴く。自らの力を扱いあぐねるルナにフィオナは語りかけ、彼はその力の使い方を知る。シオンたちが訪れた屋敷で出会う、彼女の知己。そこへ迫るエデンとは思想を異にする純血種の部隊。そして……。
黒藤原、大爆裂。もう、カロマインの虐殺っぷりが突き抜けすぎて笑えてしまう。何あの展開。主人公そっちのけで、個人的に一番盛り上がったのが、カロマインの少女拷問シーンってのはどうよ。まぁ、生け贄にされた彼らの誰も彼も、『人間』として、かなり歪んでいたので自業自得的な部分もあれど、やってくれちゃいましたね。これまでで一番非道かった。
まぁ、それはそれとして、シオンの過去の痕を、ぐりぐりと抉り付けて新しい傷に仕立て上げるような落としっぷりも見事。彼女の古い知人、ティーもたいがいシオンにロクでもないことしているし、シオンの過去の回想がこれまたエグくて痛いやら、最後の最後で救いめいたものを見せられたのが意外といえば意外なのですが。これからふたりの関係がどうなっていくかというのは、多分物語の本筋とは別の話。今まで得ることのなかった価値観を知り、彼女はどう生きていくんですかね。
そして、稀存種の7つある名が明かされ、ラスボスっぽい彼も登場。なんとも強敵みたいですが、そもそもの目的が謎。身内にもカロマインみたいな暴走しかかった不穏因子を抱えて、エデンは彼らとどう相対していくのか? 次巻はさらに怒濤の大激戦に発展しそう。
まぁ、この展開じゃあ、人によっては先へ進めないってのも十分ありそうだなあ。
ルナは、ようやく念願叶ってシオンとの共闘まで辿り着きましたが。ルナとシオンの不器用すぎる関係は微笑ましいんですが、これ、このままハッピーエンドで収まるって期待するのは、甘いですか?
hReview by ゆーいち , 2008/03/22
- ルナティック・ムーン〈3〉 (電撃文庫)
- 藤原 祐
- メディアワークス 2004-05
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ルナティック・ムーン〈2〉
私の命は私のもの。その責任を、あなたに背負わせてやるもんですか
エデンにて、ウェポンとしての生活を始めたルナ。彼は稀存種としての力を十全に発揮できず、周囲の足を引っ張る自分に苛立ちと諦めを感じ始めていた。そして、先の戦いで全治2週間の怪我を負い、療養中のシオンもまた、戦いに身をおけないことに、弱くなることに強迫観念にもにた焦りを感じていた。そんなある日、作戦を統轄することになった第二稀存種・カロマイン=セクは、ルナに言う。「稀存種を教えてやろう」と。
今回もばったばったと人死にが出ます。もう、容赦なく。自分に唯一優しくしてくれた人間が目の前で、っていうのはまさに奈落の底へ突き落とすかのような展開。精神的に未成熟で、まだ生まれたてのような少年のルナが、どんどん絶望に塗り込められ黒くなっていくようで。そんな彼を染め上げようとするカロマインの思惑とか、単なる趣味ではなさそうだけれど?
そして、自らの生まれと、それからの半生の境遇で、他人を避け、ケモノへの憎悪のみで生きてきたシオンは、前巻のシュシュの死を境に変わりつつあるようで。彼女を癒そうとするレイン女史と、憎まれ口を叩きながらも共闘するかっこうになったセールのふたりは、彼女の良き理解者、良き友となれるのか? あんまり仲良くなると、その後の展開で大変なことになりそうだけれど、辛い生を歩み続けるシオンの、ひとときでも安らぎとなってくれれば……。
過去にエデンを去った謎の人物の影が登場。なんとも分かりやすい悪役然としたセリフを吐いてくれましたが、その思惑とは一体何なのか?
エピローグで、少しだけ距離感を縮めたルナとシオン。ともに強くなりたいと願いつつも、隣りで戦ってくれる誰かが居なかったふたり。そこで交わされた会話は、戦場に身を置く人間にとっては、叶わぬ約束になる可能性はあるけれど、そこに込められた意志は、決意は、きっと尊いもの。少しだけ笑い合えたふたりの姿が、微笑ましくも切ないラストでした。
hReview by ゆーいち , 2008/03/20
- ルナティック・ムーン〈2〉 (電撃文庫)
- 藤原 祐
- メディアワークス 2003-12
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ルナティック・ムーン
少年は広大な空の下、月を臨む
世界が『混乱』に包まれ数世紀。世界は激変し、人類は衰退の一途を辿っている。身体に異形を抱えた『変異種』は、遙か見上げる鉄の塔・バベルに住まう『純血種』たちの世界の足下でスラムを築き生きている。そして少年は今日も空を仰ぎ、見えない月を探している。
藤原祐のデビュー作。最初っから真っ黒だったんだね。だが、それがいい。
処女作だけあって、またかなり昔の作品なだけに、荒削りな部分やどこかで見たような気になる部分があるのはご愛敬。退廃しきった世界、衰退していく人類、そんな滅びを間近に控え、けれど生きていかなければいけない少年少女の出会いから始まる物語。
いや、本当、容赦ない。登場した名前ありの人物の8割方死んでるんじゃないかってくらいに。主人公といい感じになった少女は、その場面すら描かれず退場するわ、彼の父と姉は、彼の心に傷を生んで、それを癒すことすら許さず遠い場所へ行くわ、敵となる化け物の本体は……だわ。鬱展開まっしぐら。私の方で耐性できているから普通に読めるけど。
行き場所も生き場所もない少年の選択は、運命に導かれたかのようで。これから彼と出会うであろう人びとと、過去に起きた事件の真相。そして、謎にされたままの彼の出生の秘密などなど。まぁ、容赦のない展開でどん底へ突き落としてくれるんだろうか、どっちかっていうと、そういう方向へ期待してしまいますね。
hReview by ゆーいち , 2008/03/20
- ルナティック・ムーン (電撃文庫)
- 藤原 祐
- メディアワークス 2003-09
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