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桐野 霞 Tag Archive
死神のキョウ〈3〉
――遠慮とかしないでいろんなことを俺にぶつけてきてくれていいんだ。おまえが俺の隣にいてくれると言ってくれたように、俺もおまえの隣にいるから。
キョウの妹分で死神見習いのココロが現れてから、恭也の日常はますます賑やかになる一方。しかし、乗り合わせたバスで偶然にも発生したバスジャック事件において、恭也は死神の本分を否応なしに見せつけられる。キョウとの関係に生まれるしこり、姿を消す命、そして不穏な行動を密かに起こすココロ。死神たちの間に生まれた波紋はやがて恭也を巻き込み、彼に隠された秘密をも暴いていく。
もはやどこに出しても恥ずかしくないバカップルと化した恭也とキョウ。他人の目を気にして普段は澄ましてスキも見せないくせに、ふたりきりの時間が生まれるとその緊張感もどこへやら。恋する女の子な雰囲気と気持ち全開でいるものだから、別の意味でお互いに緊張しているような。ああくそ、なんだこの初々しさは!?
そして、物語の流れは、やっぱり中盤以降の急加速。前巻の終わりで見せた、ココロの笑みというには邪すぎる表情の意味が分かるのは最後の最後。そして、彼女のキョウへの執着は予想の遙か斜め上の、もはや狂的な信仰と妄執だったという病んだ展開に。
いやぁ、ここまでヘヴィな荷を、キョウに背負わせるかと思ってしまいますが、翻ってみれば、当のキョウ自身が、すでに恭也を助けたという咎と罪の証をその身に刻んでいるわけで。日常のラブコメ然としたやりとりにうつつを抜かしているかと思いきや、そんなことはなくてキョウも、ミコトも死神という人間と相容れることのない役目を果たす存在と、隣人としての自身という両極の狭間で苦しみを得ていたわけですね。
一方、そんな悩みとは無縁の、ある意味で純粋な死神であるココロはそんなふたりの気持ちを理解することができず、今回の行動に至ってしまいます。価値観の相違で片付けることができるほど簡単な問題でもなく、逆にココロたちの側――一般的につとめを果たす死神たちからすれば異端なのはむしろキョウたちなのかもしれない。そんな断絶を隔てて対峙した姉妹のようなふたりの決着と決別はやるせなさ過ぎますね。
いつかは自身の手でケリを付けなければならないとはいえ、その強さを得るには至らない弱さと脆さを抱え恭也にすがるキョウ。ふたりの関係が深まるにつれ、一方が一方を守り支えるというという片道通行な想いから、お互いを大切にしあう恋人らしい関係に変わっていってるようにも見えますね。まだ自分一人では様々な事実に立ち向かうには心許ないふたりだけれど、キョウの気持ち対して恭也も自分の答えを返し、対等の関係としてこれからも試練に立ち向かっていけそうですね。
……恭也の身に起きたアレについては微妙にどこかで見たような気がしないでもないですが、重大な伏線ぽいものがこのような形で語られたってことは、今後はバトル分多めの展開になっていったりするんでしょうか。うん、少年漫画的展開万歳! でも、私はもっとラブコメないちゃいちゃも見たいんです。ぜひとも両立してくださいませー。
hReview by ゆーいち , 2009/11/07
- 死神のキョウ 3 (一迅社文庫 か 1-3)
- 魁
- 一迅社 2009-10-20
- Amazon | bk1
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死神のキョウ〈2〉
寂しいと思ったらあたしを呼んで。たぶん……すぐに行くから。
夏休み目前。同居生活継続中の恭也とキョウのもとに、死神見習いのココロがやって来た。キョウを姉同然に慕うココロは、彼女と同棲しているというけしからん恭也に対して攻撃的な態度をとりつつも、ふたりの生活に溶け込んでいく。そんな中、クラスでは序列戦再戦に向けて盛り上がりを見せ始めていて……。
前巻は後半の唐突な暗黒展開に驚きつつも、キョウさんのデレ具合に癒されたお話でしたが、今回はさらに彼女のデレ具合が加速しているような気ががが。
ふたりの同居生活に割り込んできた妹分ココロ。キョウを慕うココロは、恭也がキョウといちゃいちゃしてるのが気に入らないのは当然で、あの手この手で恭也に対して妨害工作をしてみたり。割とシャレにならないようなこともしてますが、やたらとデフォルメされたココロのキャラクターのせいか、コミカルさが先に立っているのと、恭也がそれを割とスルー気味に受け止めてるおかげで、悲惨なことにはなってないですねえ。
過剰なスキンシップを求めるココロのおかげかサービスシーンも増えてますね。ところどころえろげテイスト溢れる描写があって、にやにやできますねえ。なんで、ラノベという土俵でこういう表現見るとドキドキするんだろう(笑) 美味しくいただけました。
とまぁ、そんなラブコメ展開が今巻のほとんどを占めていて、物語が動き始めるのは終盤になってから。序列戦が今回も組み込まれていた理由はちょっと分からないのですが、クラスの男女間の対立が引っ張られてる辺り、学校生活の方ではこれが尾を引いて今後の展開に影響してくるのかな。
一方の非日常な部分、死神との関わりという点では、キョウがかつてなろうとしていた役割を持つ死神になろうとするココロの動向に注目ですね。日常では良い感じに恭也たちとも接することができていたのに、ココロの本来の目的は別のところにあることがほのめかされています。彼女が最後に見せた、これまでの幼い少女然としたあどけなさとは隔絶した、不安を煽るような嘲笑の色を濃くした笑みの意味が気になりますね。
終盤の急転直下の展開はどうかなあという気もしますが、それまでのベタベタなラブコメ展開は楽しかったです。次巻はシリアス目にお話が進みそうですが、それはそれで楽しみ。もはやデレまくりなキョウと恭也がさらに距離を縮めるには、いささか重い試練となりそうですが、次巻も期待できそうです。
hReview by ゆーいち , 2008/12/02
- 死神のキョウ 2 (2) (一迅社文庫 か 1-2)
- 魁
- 一迅社 2008-11-20
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死神のキョウ
はじめまして、死神です。あなたのことを守りにきました
木に登った猫を助けようとしたら、その木がぶった斬られた。黒いマントを羽織り、日本刀をその手に携え、瞳を金色に輝かせた少女は宙に浮いたまま笠倉恭也に告げた。「あなたのことを守りにきました」 死神を名乗る彼女は、恭也を守るためと言い、彼の家に押しかけ共同生活が始まる。何かにつけて無闇矢鱈に刀で斬りつけられ痛めつけられる、けれどドタバタした新しい日常の始まり。恭也は死神の役目が何であるのかを深く考えず、その日常を受け入れていく。そして……。
バイク窃盗犯を追いかけて返り討ちになったことまでネタにされてしまう魁氏のラノベデビュー作。どちらかというと、私はCLANNADよりALMAのひとという印象ががが。
まぁ、それはともかく、楽しい作品でした。中盤まで。いかにもなギャルゲ展開で、ラブコメしていくかと思ったら、とある事件から一気にヘヴィな方向へ物語が転がるものだからどうしたものかと。落差が激しくて戸惑いつつも、なんだか綺麗に収まってしまってますね。いや、良かったんだけど。
てなことで、露骨にテンプレなツンデレを演じる死神のキョウとか、義妹な従姉キャラの小桃とかなんだか腐りかけてる感じの委員長・命とか、BL路線に突入したらどうしようかという親友・克己らと繰り広げられたドタバタな日常。どのエピソードもどっかで見たことあるような展開ながらも、見せ方が上手いのかにやけてしまって困ります。こういう路線で最後まで行くかと思ったら……なんだもんなぁ。
日常の描写がやたらと楽しくて、その分、終盤の急展開が本当に急展開に感じてしまい、ちょっと語り足りない部分もあるかなとも思いつつ、楽しめた作品でした。こういう路線なら、今後も読んでみたいですね。
hReview by ゆーいち , 2008/05/24
- 死神のキョウ (一迅社文庫 か 1-1)
- 魁
- 一迅社 2008-05-20
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渚フォルテッシモ〈3〉
三角関係進展? 渚、朱里に危機感を覚える
小説の新作執筆をしている朱里は、その小説のヒロインと自分をダブらせて、大地と上手く接することのできないことに悩み落ち込み気味の毎日を送っていた。そんなとき、朱里は同級生の里緒奈から彼女が遭遇したという巨大な白蛇の調査を、UMA研究会にしてもらうよう頼まれる。渚と急に仲が良くなったように見える大地。そんな大地と仲良くなりたい朱里は、勇気を出してこの依頼を研究会の皆に知らせて……。
大地を巡る恋のさや当て激化かと思われつつも、結局渚と大地のバカップル度が上がっているようにしか思えなかった第3巻。朱里の立場がかなり当て馬くさくなってきていて、なんともかわいそうな状態に。引っ込み思案な彼女の中に生まれた仄かな恋心は応援したいけれど、現状では入り込む隙間があるのかないのか? 終盤で思い切って行動に出たおかげで、渚をやきもきさせることに成功はしたけれど、その先は前途多難。一方的にライバル視されているけれど、どこかで吹っ切れて攻勢に出る日は来るのか?
渚は渚で、自分の気持ちに素直になれない生殺しの状態が延々と続いてますね。自宅に招待したり、手料理振る舞おうとしたり、大地のニブチンさも手伝って、どうにも煮え切らない。お互い憎からず想っているのに、その気持ちを形にできない不器用さが微笑ましいやら、じれったいやら。恋に生きる渚の母親の幸せな姿を見て、うらやましいとは思いつつも、自分の大地への気持ちを素直に肯定できない彼女は、今回の話を通じて芽生えた焦りや苛立ちの正体が嫉妬だと気づくことができるのでしょうか。
魔物事件の黒幕的な占い師が思い出したかのように登場したけれど、彼がどんな風に物語に関わってくるのか。今回の事件の顛末はなんとも苦いものでしたが、やはりここはラブコメ特化で進んでほしいなあ。
hReview by ゆーいち , 2008/03/07
- 渚フォルテッシモ3 (MF文庫 J き 2-3)
- 城崎火也 桐野霞
- メディアファクトリー 2008-02-21
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渚フォルテッシモ〈2〉
早くもデレ期到来!? 渚のツンデレ具合は直球ど真ん中 だがそれがいい!
渚の呼び出しに応じて、大地が学校へ行ってみたら、プールの更衣室から女の子の悲鳴。慌ててそこを覗いてみたら、生徒会長の空美の着替えに遭遇。そんな奇妙な出会いながらも、お互いの共通の趣味であるUMA好きが高じて意気投合。自分をほったらかしにしてUMA同好会を結成するためにメンバー集めに奔走する大地の姿に、渚は御機嫌斜め。
あれ、そういえば女子生徒の制服が盗まれるなんて事件も起きてたような? 今回も波乱の予感!
うはははは! 渚がテンプレ通りなツンデレ役を演じてくれながらも、それがあまりにもツボにはまりすぎてるせいでにやけが止まりません。そりゃ、恋する乙女は100人力。魔物だって素手でボコってしまいます。前巻のややシリアス風味な魔物とのバトルはどこへ行った。奥の手のレヴィアタンの出番は今後あるのか!?
新キャラの空美や、大地への好意を隠そうとしない朱里など、大地の周囲に集まってきた女の子たちにやきもきしつつ、自分のプライドと恥ずかしさから素直に気持ちを告げられない渚が可愛らしいですね。その分、実力行使でストレス発散されて、被害が拡大してるような気もしますが……(笑)
しかし、ケンカするほど仲が良い、を地で行くふたりはこれからどうなるのか。当面、渚の恋のライバルになりそうなのは朱里だけだけど、今回もラストでかなり渚と大地の距離は縮まった感じがします。これから朱里の怒濤のアプローチで巻き返しが図られるのか、それとも新たな台風の目が現れるのか。この心地好いラブコメ路線を今後もどんどん続けてほしいですね。
恐妻家のごとく、渚の一挙手一投足に戦く大地と、そんな大地の時たま見せる格好いい姿の胸を高ぶらせる渚のコンビは見てて大変微笑ましくなりますね。良作。
hReview by ゆーいち , 2007/11/05
- 渚フォルテッシモ 2 (2) (MF文庫 J き 2-2)
- 城崎 火也
- メディアファクトリー 2007-10
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