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彼女は帰星子女〈4〉
本巻で完結。3巻からやたら駆け足になったのは、情報局の草葉局次長の陰謀(?)絡みの展開を突っ込んだせいではないかと。ぶっちゃけ、望と絹の物語を中心に据えているのだから、彼らの思惑とかもしっかり描こうと思ったらもうちょっと長丁場になるのではないかなぁと。
序盤が絹を失った望の心情描写に終始しているせいか、やたらと重苦しくて切ないですね。望にとっては初めてであろう『家族』の喪失のショックの大きさが伺えます。周囲の人間の気遣いとかとは関係なしに、自分で選択し、自分で行動することができるようになったという部分での成長も丁寧に描かれていたように思います。穂高の気持ちの整理とかもこのシーンで絡めてくるかというばかりの絶妙さ。打算で動きつつも、最後の最後で、自分の気持ちを通すことよりも想い人の気持ちを優先できるようになったという点では、彼女もまた成長したのでしょう。
終盤が駆け足になりすぎて、どうにもエピローグの余韻が不足しているように感じます。もうちょっと取り戻した日常やら、社会の変化やらにも踏み込んだフォローが欲しかったかな。ここら辺は、単純にページの都合かもしれないけど、できればもう1冊、と思わずにはいられませんでした。
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彼女は帰星子女〈3〉
物語の大きな転機。積み上げてきた時間が長くなれば長くなるほど、絹の家族に対する想いというものはかけがえのないものになっていって、けれど自分自身の存在が、そんな大切な人たちを事件に巻き込んでしまう。気がついたときには、離れがたい存在になっていながら、大切だと思うがゆえに下さざるを得なかった決断。苦渋、ともとれる絹の決意は、穂高の告白やら望との拉致事件やら、本巻のエピソードを通して、初めて家族に対して我を通そうとした果てものであったように思います。
情報局の決して表に出せない政治色の強い策略を見せられると、さすがに善人ばかりでないという当たり前の事実に気づかされてイヤになりますね。絹と望は、地球人だとか宇宙人だとかそんなことにこだわらずに、ゆっくりと心を通わせていったというのに、焦りにも似た拙攻で事態を悪化させてしまったり、事態はどんどん混迷していっているような。
穂高絡みのエピソードに一区切りついて、これで本格的に絹と望の、互いの気持ちを形作る段階に来たのでしょうか。割と淡々と進んでいるように見えて、しっかりと時間は進んでいるし、着地点は見えていても、そこへの紆余曲折はまだまだありそうですね。
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彼女は帰星子女〈2〉
穂高さんは、嫌われそうな役を押しつけられてかわいそう。望と絹の関係は遅々として進まないながらも、周囲の思惑が渦巻くスターチャイルド作戦は進行中。ただ単に、掛橋市での生活に、ひいては地球での生活にとけ込もうと四苦八苦する絹と周囲の人間との見えない壁の厚さを実感させられるお話。排他的な地域感情というのは多かれ少なかれあるにしても、文字通り孤独である絹に向けられる、腫れ物をさわるような扱いやら言動やらは、分かってはいても気分の良いものではないですね。その急先鋒的な穂高の、望を想うあまりの独善的な行動が、痛いやら不快やらで、株を落としまくりではないかなと。損な役回りですな。
まぁ、それでも、互いが歩み寄る姿勢を見せることができるのは、希望を感じられて良いものであります。じめじめした愛憎劇よりは、からっとポジティブに、自分を変えていきたいと、行動に移す穂高の姿も、感謝を伝えるために街の人々に歩み寄ろうとする絹の姿も、それこそ雨上がりの陽射しのようにまぶしくて、雨降って地固まるな割とありがちなお話ですが、気持ちの良い終わり方で締めてくれたなと思います。
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彼女は帰星子女
いや、面白かった。絹ってばツンデレじゃーん、と思いつつ読み進めていったら、ほとんどデレ描写なんてないし。や、でも、福山絹という少女の為人はそんなのではないのだなと。
屋根の上で物思いに耽るというのは、家族をテーマにした物語ではよくあるパターンですが、それ故に効果は抜群。そういえば家族計画も屋根上での会話は、互いの距離を縮める、重要な舞台として上手く利用されていました。
終盤、絹を探す望と、親友の大樹が交わす会話が物語の方向性を決定的に印象づけますね。地球人として見られたかった絹と、宇宙人として絹を見ていた望。二人の意識のずれは、望が絹自身を見つめることでようやく収束し、これで第一歩といった感じです。
世界の思惑も、周囲の感情も、そんなことはお構いなしに、望と絹、二人の心の距離がどのように縮まっていくのか、宇宙と地球として分かたれていた絶望的な距離感を埋めていくのか。恋模様を描くよりも、もう少し広範な意味での家族の交流を描いていくことに期待したい作品ですね。
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