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ウィザーズ・ブレイン〈6〉再会の天地〈上〉

stars ……誰でもいいからあのバカのところに行って、一発殴って目ぇ覚まさせてやんなきゃね

〈賢人会議〉のシティ・ニューデリーへの接触の情報を受け、錬とフィアはヘイズを頼りに、そして月夜はシティ・モスクワの捕虜として、シティ・ニューデリーへ潜入する。魔法士にとって、最も権利の保障されたシティとて、マザー・システムの庇護失くして存続はできない。そして、現在、シティ・ニューデリーは、マザー・システムの限界を迎えようとしていた。シティの主席執政官である、アニル・ジュレは魔法士でありながらマザー・システムの存続を唱え、そんな彼を錬は理解できないでいた。

本編始動、ということで、いよいよ様々な人物が出会い戦い傷つき別れていく予感。これまでの登場人物の大部分が一堂に会し、これまで隠されてきたシティの秘密に対して、世界と向き合わせていく展開ですね。

きょうだいでありながら、月夜、真昼、錬の歩んでいる道はそれぞれ異なり、けれど、所々で挿入される過去のエピソードは、そんな三人が間違いなく家族であることを感じさせて、現在の望むと望まざるとに関わらない対立構造は、やるせないものがありますね。自身の正義に基づいて行動しているような真昼の考えを、これまでともに歩んできた月夜と錬が理解できてないといのが問題の根幹ですが。賢人会議のリーダーであるサクラにすら、未だにその真意を明かしていないっぽい真昼の本当の目的は、いつ明かされるのか。一枚も二枚も建前で隠されていそうで、本当に食えない男ですね。

そして、もうひと組のきょうだい。クレアとディーの再会は、やはり切ないものがありました。戦いの原因となったセラの存在はともかく、ディーはすでにクレアとの道が別たれてしまったことに悲しみと諦めをもって受け入れているようで、なのにそれが耐え難いからこそ、セラに要らぬ心配を押しつけているような。強さを手にしても、その心の繊細さは変わらないでいて、それはセラもクレアも望んでいるはずなのに、どうにも報われない。大切なひとを喪ったという、覆せない過去があるだけに、彼らの和解の道はまだ遠く、霞んで見えもしていない様子。

本編の中心となるアニルの存在は、これまでの魔法士の誰とも異なる立ち位置で、シティを動かすための中枢にいる彼の決断は、個人の思惑の域を超えて、すでに国家同士の政局を左右する政治の領域にあります。これまで、戦いで片付いていた問題ではなく、世界に対して、そこに生きている人々が、向かい合わなければならない現実が、いよいよ提示されようとしています。

こじれにこじれた人間関係の糸とは別の次元で動き始めた大きな歯車の音が聞こえてきていますね。

hReview by ゆーいち , 2008/05/04

ウィザーズ・ブレイン〈6〉再会の天地〈上〉
ウィザーズ・ブレイン〈6〉再会の天地〈上〉
三枝 零一 純 珪一
メディアワークス 2006-12

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