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Kaguya〈2〉―月のウサギの銀の箱舟
わたしはこう思うんです。きっと世界にやさしくなれた分だけ、世界もわたしにやさしくしてくれるんだって。
「宗太さんのこと、好きになっちゃったみたいです!」そう告白したひなたに対し、宗太はその場で答えを返すことができなかった。それから始まるひなたの熱烈なアタックに、ひとつ屋根の下で暮らす宗太は気が気ではなくて……。そして、先の執行人事件の記憶も薄れぬ間に、新たな事件が発生する。「銀の箱舟」を名乗る組織の手によって、祭りの夜に爆音を轟かせ、始まりの狼煙として。
宗太への好意を隠すことなく、世間知らずであるがゆえの無垢さを武器に、京先輩の入れ知恵を疑いもなくこなすひなたが可愛いったらもう。宗太もまんざらではないくせに、その面倒な性格と、好きだと思っている里見千歳への妙な遠慮から、そんなひなたの告白に答えることもせず引き延ばして……。ああ、なんで、こう、主人公たちは煮え切らないのか。この場合、据え膳ですよっ! スク水でお背中お流ししますですよ!? 何この嬉しいシチュエーション、いただいちゃえよ!!
宗太の年不相応な冷静さと達観めいた考え方は、こと、事件に立ち向かうときには大きな武器になるけれど、自分の感情すらも分析しようとして、色恋沙汰にはまったく向いてないですね。そのおかげで、先輩にからかわれるわ、千歳からの好意を棒に振るわ、ひなたを不安にさせるわと、朴念仁スキルフル発揮ですが。
そして、ひなたの圧倒的な力の秘密がこれからの事件には大きく関わってくると。この辺は予想通りというか、物語の収束地点が見えてきた感じですね。かぐや姫と呼ばれる、ひなたのような特殊なムーンチャイルドの運命は、ご多分に漏れず悲惨なもので、そもそもムーンチャイルドであること自体が、世界の中で生き辛くさせる大きな要因であることに、どうやって立ち向かっていくのかというのがこれから描かれていきそう。
今回の事件の結末も、首謀者の登場から大きな転換と、これまた残酷な事実の明かされを伴ったものでしたが、こんな絶望を抱えて子どもたちが生きている世界を、大人たちはどう見ているのか、その辺の葛藤もちらりと語られましたが、歪んでいる世界で幸せを掴むことの難しさは痛切に感じますね。
キーマンとなりそうな人物も登場し、ひなたの運命はこれから大きく揺さぶられていきそう。宗太と通じた思いが、彼女の支えとなり、未来を掴む力に繋がることを祈りたいですね。
hReview by ゆーいち , 2008/08/12
- Kaguya 2―月のウサギの銀の箱舟 (2) (電撃文庫 か 14-5)
- 鴨志田 一
- アスキー・メディアワークス 2008-08-10
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Kaguya―月のウサギの銀の箱舟
- 2008-05-29 (木)
- ライトノベル
立花ひなたはいつもお前を見てた。ちゃんとお前を見ていた。なのに、お前は何をやってたんだ。
「近々、何か大きな事件が起きるね」生徒会長も務める先輩の京にそう言われた帰り、宗太は自分の住むマンションの前でシーツに身をくるんだ少女と出会った。その格好と、何より、彼女の目が不自由なことに気付き、学校への道を尋ねる彼女を、自らの家に招く宗太。ひなたと名乗った少女と、他人には秘密にしたままの能力を持つ宗太の共同生活が、その時から始まった。
ほんわかしたノリかと思ったらそんなことはない。このギャップは狙ってるのな狙っていないのか。途中から、それまでの印象を覆すような怒濤の展開でどうしようかと。この表紙から、まさかそんな方向の物語になるとは想像できようか。いや、できまい。ということで、意表を突かれました。
ムーンチャイルドと呼ばれる特殊な能力を宿した少年たち。かつて、月の欠片が地に落ちた事件を境に、そんな超常の力を持った人々は、けれどその存在を肯定されず、社会的に迫害を受ける世界。そして、その力を悪用する人間を、毒をもって毒を制すがごとく、能力者によって捕らえる公安特課。主人公の宗太らは、そこの所属し、人知れずムーンチャイルドによる事件を解決していた最中、その犯人たちを非情の手段で断じる「執行人」が現れて……、というお話。
結構容赦なく人死にが出たり、宗太たちと親しく会話した子が大変なことになったり、そして事件の真相がこれまたお話の都合なのかどうなのかはともかく痛いですね。強大な力を持ちながら、目の見えないというハンデを持つひなたと、自らの能力で文字通りひなたの「目」となることのできる宗太。上の都合で半ば無理矢理に始めさせられた共同生活の中で、少しずつ距離を縮めていきつつも、決定的な部分で踏み込めない宗太のへたれさが光ります。天罰。
一生懸命に手に入れたささやかな生活を守ろうとするひなたと、まさに対照的で、この事件を通してようやく真正面から彼女を見ることのできた宗太ですが、宗太が想いを寄せる千歳嬢とひなたとの、なんとも微妙な三角関係に発展していきそうですね。次巻では思い切りラブってコメってほしいですよ。
hReview by ゆーいち , 2008/05/29
- Kaguya―月のウサギの銀の箱舟 (電撃文庫 か 14-4)
- 鴨志田 一
- アスキー・メディアワークス 2008-04
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