鉄球姫エミリー

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stars 呻る鉄球 弾ける血肉! イラストの可愛さを大きく裏切る本格バトル!

ラゲーネン王国第一王女・エミリーは、弟王の即位により数少ない護衛騎士、装甲侍女ら臣下らとともに辺境へ追いやられ燻った毎日を送っている。連日彼女の元を訪れる諸侯らの、弟王からの王位簒奪の進言。しかし隣国との高まる緊張の中、国を二分するような争いができるはずもなく。そんな中、親王派の実力者ジョゼフは、争いの火種を根絶するため、亡霊騎士たちにエミリー暗殺を密かに指示していた。

瀬之本久史の可愛いイラストに騙されてはいけない! 表紙と口絵見て買った人は、内容がここまでバイオレンスで救いなしな展開になると予想できたのだろうか。そして、エミリーのトンデモな性格も。

というわけで、少女や青年や老人やらが、超人的な力を与える超重の甲冑・大甲冑を身にまとい、規格外の武器を振り回して死闘を繰り広げるバトル小説でした。意外!

主人公のエミリーが、傲岸不遜にして、気品溢れる容姿に反した下品さまでも併せ持つ強烈な個性を誇り、序盤~中盤までは比較的コメディ色の強い展開だったのに、彼女の暗殺を使命に帯びたマイルズ、コンスタンスら亡霊騎士の襲撃を境に、一気にシリアスなものに様変わり。

超人的な力を与える大甲冑をまとった護衛騎士、亡霊騎士同士の戦いはまさに死闘。どちらにも互いに譲ることなどできない忠誠と信念があり、敵方であるマイルズ、コンスタンスにしても、亡霊騎士としての生き方を選ばざるを得なかった背景があり、しかしその生き方には彼ら自身の誇りすらずたずたに引き裂き、魂を削るような苦悩がついて回っています。そういう描写があるからこそ、彼らの闘いの決着の一つ一つが苦く、それをたった一人で見つめざるを得なかったエミリーの慟哭が脳裏に響くようで。

物語の結末は、非常に後味の悪いもので、失ったものが多すぎて、得たものは後悔とわずかばかりの精神的な成長くらい。けれど、最後の最後に笑顔を見せることのできた彼女の強さは気高く美しく、この先も折れない生き方を続けていくと感じさせてくれるものでした。

hReview by ゆーいち , 2008/01/13

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One Trackback to 鉄球姫エミリー

booklines.net
booklines.net 2008年1月14日 at 9:57:31

[八薙玉造] 鉄球姫エミリー

この数ヶ月、何度同じ言葉を聞いたか。彼女の弟である現国王の病弱さを盾に取り、エミリーを焚きつける輩は後をたたない。いまさら何をと思いながらも、かつて王位を継ぐための努力…

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