スプライトシュピーゲル〈2〉 Seven Angels Coming

stars 出来る。この仲間となら。自分たちなら成し遂げられる。どこかにいる彼らとなら。

ミリオポリスに落下した原子炉衛星アンタレス。その落下は、これから始まる事件の幕開けにすぎなかった。プリンチップ社のエージェント、リヒャルト・トラクルの影。七位の天子が吹き鳴らす七つの角笛。それは MSS にとって、熾烈な戦いの始まりを否応なしに告げるメッセージだった。

衛星落下と核爆弾を巡る対テロ組織戦闘のもう一つの局面。MSS と7つのテロ組織との戦いを描いた本作。オイレンとのリンクが良い感じに出てきて、それこそ「繋がってる」感がひしひしとしますね。あの場面で互いをフォローしあった2組の特甲児童のチーム。お互いがお互いをどう思ったのかとか、微妙にずれたりしてて面白いですね。

こちらのエピソードでも、テロ組織の本来ならあり得ないような連携に翻弄される MSS のメンバーたち。後手後手に回りつつも、最後の最後まで起死回生の一手を諦めずに探し続け、ようやく掴んだ逆転のチャンス。そこへ至るまでに見てきた様々な現実の非情さに、へこまされつつも、最後の手を取る場面はやっぱり綺麗だなあと。

前巻が凰にとっての試練ならば、今回は乙にとっての試練。モリサンとの出会いと、彼の生き様が乙に刻んだ想いというのは、彼女に何をもたらすのか。ひとの死を悲しまないと言いつつ、流した涙の意味は、本人にもまだ理解できなくとも、これからの戦いの中で絶えることなく息づいていくんだろうなあ。

冬真は、巻き込まれ型のヒロイン体質だなあ。一般人の割りに、とんでもなくきつい場面に遭遇し続けて、もう、何も知らない立場ではいられない感じ。MSS と、凰との関係をこれからも続けていこうとするならば、遠からず、何らかの選択を迫られそう。それが、悲しいものにならなければ良いと、そう思いますが、果たして……?

hReview by ゆーいち , 2008/06/29