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イスカリオテ

stars 神と子と聖霊の御名において――汝に認証を求める! 我が名は九瀬イザヤ!

亡き兄・九瀬諫也として彼――九瀬イザヤが訪れた街・御陵市は〈ベスティア〉と呼ばれる異形の怪物と戦うための都市だった。街への来訪と同時に、〈獣〉の襲撃に巻き込まれるイザヤ。絶体絶命の窮地に、彼を救ったのは、本当の諫也のために用意された第九祭器・ノウェムと彼女が纏う神の奇蹟を模倣する断罪衣イスカリオテだった。約束の期間は一年、その間〈獣〉との戦いを余儀なくされたイザヤは……。

三田誠作品は初めてです。面白かったです。

七つの大罪をモチーフにした化け物、聖人の名を冠し、その奇蹟を科学により擬似的に再現することで戦う力を得る断罪衣、とタイミング的にはこれとは別に似た感じの作品を読んでいましたが、それとはまた違った面白さのある作品でした。

イザヤがなぜ諫也としてこの街を訪れなければならなかったのかは、かつて英雄視された九瀬諫也という存在に頼らなければならないほど逼迫している都市の事情や、対〈獣〉戦の指揮を執るカルロの思惑、そして諫也を兄と慕う玻璃の存在など、様々な理由付けがされています。

が、イザヤが諫也として戦うという選択肢を選んだのは、やはり最初の戦いで出会ったノウェムの存在が大きいのかな。戦うために作られた人形にして街そのものである彼女。ノウェムとイザヤの、他人とのふれ合いを満足に知らないふたりの、ぎこちない生活や、イザヤが餌付けされる(笑)情景、彼の言葉に笑顔を浮かべるノウェム、とそんなやりとりが良い感じです。

一転、〈獣〉との戦いではピンチの連続。十分な迎撃のための戦力に乏しく、直接的な戦闘担当がカルロとノウェムのみという状況で、なぜかイザヤの訪れとタイミングを合わせたかのように襲ってくる強大な敵。なんとも王道的な展開ですが、燃える燃える。敵の目的も、この世界に存在する断罪衣という力の理由も、明かされないことは多いのですが、それを謎としたまま熱く見せる展開に引き込まれますね。

そして、重要な位置づけにいそうな朱鷺頭玻璃嬢の抱えた秘密。物語の冒頭で語られた内容が終盤で大きな意味を持ってきてますね。彼女の抱く九瀬諫也への想いが、過去の本当の諫也と、今の偽物であるイザヤを繋いでいますが、彼女の抱く罪と、語られていない過去の出来事が、これからの戦いのどんな影を落とすのか、それもまた気になるところです。

偽物として多くの人間を騙したまま戦わざるを得ない状況に置かれてしまったイザヤ。彼がこれからの一年間をどうやって戦っていくのか、絡まった想いと、謎に満ちた世界、それらの展開と合わせて期待したいですね。

hReview by ゆーいち , 2008/11/13

イスカリオテ
イスカリオテ (電撃文庫 さ 10-5)
三田 誠
アスキー・メディアワークス 2008-11-10
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