逃げたくない。だから言わせてくれ。あなたに、聞いてほしい。
帝政列集国の設立を機に各国間の緊張は高まりを見せている。軍国での戦闘により、対ヴァルヴァニル戦の全権の行き先はひとまず保留となった中、軍国から帰還を果たしたセシリーたちは、一時の休息の時間を得る。
激しいバトルだった前巻の余韻を払拭するかのような平穏な日常。セシリー、ルーク、リサ、アリアたちがどこかで望み、守りたいと願っているはずの穏やかな日々の一コマが感じられる短編集でした。
それでも、これまでのお話で、各人が抱え込むことになった事柄への一定の回答が用意されていたり、今後激化する対ヴァルヴァニル、そして同時に進行しそうな対帝政列集国に向けたそれぞれの覚悟を決めるための凪の時間であるように思います。
聖剣の鞘との関わりが明らかになったセシリー、残された時間の少ないルーク、彼と共に在り続けるリサ、そして魔剣という逃れられない宿業の中それでも自分の戦い方を守るためと定めるアリア、皆が皆、目指す方向は一致して、同じ明日を掴みたいと願っているはずなのに、そこへ至るまでの道には険しいことこの上ない困難の連続が待ち構えていること間違いなし。
お互いへ向けた想いの正体に自覚的になりつつも、お互いを想うがゆえにその気持ちを言葉にできないセシリーとルークのもどかしさも、運命や使命、背負ったものの重さを考えると宜なるかな。けれど、だからこそ、欠けることのできないお互いを認め合い、支え合うという次のステップに至れば、あらゆる困難に負けないための強力無比なパートナーになり得るとも思えるんですよね。共に戦う戦友としてだけでなく、男女としての関係を手にするために戦う、そんな俗な理由を追加して戦っても良いじゃないですか。
一方、不穏な空気漂う帝政列集国は止まるどころかさらに加速をかけて世界を混沌に陥れようとしてるような。守ろうとするもの、怖そうとするもの、世界を舞台に未曾有の戦いを演じようとする役者たちが一堂に会する次なる幕がいよいよ上がろうとしています。
hReview by ゆーいち , 2009/04/04
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