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マージナル〈6〉

stars 聞いてみたいのですよ――『殺人はあなたを幸せにしたのですか?』と。

堂坂音羽と春日井小夜歌のふたりによる、小夜歌の継母殺害は、完全犯罪となって誰にも暴かれることなどないはずだった。しかし、ふたりの前に現れた摩耶京也と名乗る男が、事件を嗅ぎ回り、次第に核心へと迫りつつあった。追い詰められる音羽と小夜歌。ただ自由を求め、そして道を誤ってしまったふたりは、ただひたすらに地獄へと転がり落ちていく。

これにてシリーズは完結? あとがき見る限りでは本巻で描きたいことは描き尽くしたように見えますが……。

もっとも、摩耶京也を主人公とした物語は、すでに4巻でひとまず片付いているようなもので、前後編に別れたこのエピソードは、彼を探偵役として配した、別の殺人者の物語であったわけで。

そういった意味では、京也がこだわっていた境界を越えてしまった人間――オーバーラインとして、音羽と小夜歌が認識されているようには見えず、探偵役としての彼と、犯人役としての音羽の頭脳戦がメインになってるあたりが、大きく雰囲気が変わって見える要因でしょうね。

そして、前回が音羽の変質が描かれたのに対し、今回は彼女の妹であり、音羽が守ろうとした小夜歌の変質がこれまた恐ろしい感じで。冷静に計画を練り、けれどイレギュラーな事態にはペースを乱されてしまう音羽に対し、静かに心奥深くに殺意という澱をためていき自分以外の誰をも切り捨てることに良心の呵責を抱かない小夜歌。彼女の本巻での逸脱ぶりは十分に壊れているといえるような気もしますが、それでも彼女が「戻ってこれた」という一点において、京也の眼力は確かだったということでしょうか。

どうしようもなく追い詰められ、避けようのない嵐のような繋がりに対して、殺人という方法でしか血路を開くことのできなかった悲劇的なふたりですが、その手段を美化せず、悪として描き、そしてその代償をしっかりと背負わせた話の筋は報われなくても、ようやく幸せに手が届いたのかな、とそんな思いを抱きます。

まぁ、百合を描きたかったとかそんな理由で、こういう黒い話を思いつくあたり、作者の色は変わってないなあとも思いますが。

hReview by ゆーいち , 2009/07/19

マージナル 6
マージナル 6 (ガガガ文庫)
神崎 紫電
小学館 2009-07-17
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