ラッキーメイド天くん~お嬢様学校へ行こう!~

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stars ――早くここまで登ってらっしゃい。あなたがプロポーズしてくれるときを待っているから。自分の力で、自分の才覚で、使用人の立場を抜けてちょうだい。

幸運の遺伝子を持つ少年と噂の大黒天は、借金1億円のカタに伊集院千早の専属メイドとして働いていた。その仕事の一環で、千早の護衛を兼ねてSAとして日本有数のお金持ち女子高に通うことに。そんな折、SAたちが力を競う、SAトーナメントが開催される。賞金は1億円。優勝すれば借金を返して千早にプロポーズできる!と意気込む天だが…。

[tegaki font=”crbouquet.ttf” color=”pink” size=”36″]とっても!ラッキーメイド[/tegaki]

この2巻で物語は完結ということで、凄い勢いでお話が畳まれているというか、畳むほど膨らんでいなかったので、ゴールへ向けて一気に駆け抜けたというか。テンポの速い展開でした。

というか、テンポ早すぎでしょう(笑) 天を捨てた父親が、彼の元へ金の無心に来た&千早ちゃんから課せられた天を試す試験というふたつの大きなイベントが重なっているのに、それが完全に独立して進行してしまったものだから、どちから一方をしっかりと描いてくれてもよかったんじゃないかなあと思っちゃいますね。3巻まで書いてよいと、そんなことが後書きに書かれていただけに、この急ぎすぎた完結のさせ方というのは納得のいかない部分が多かったですね。

前巻が経済戦を物語のクライマックスに持ってきたのが印象に残っていたので、今回も、千早から一千万円を元手に一億円を稼いでみせろなんていう無茶な期待も、天自身の強運と、それこそ創作の世界万歳な華麗な手腕によってお金を稼ぐ展開なのかなあと思ったら、今回は天下一メイド会だったんだぜ? な、何を言っているか分から(ry

お嬢様学校の戯れ的なメイド(SA=スクールアテンダント)によるトーナメント。心技体、メイドとしてのたしなみも、護衛としての実力も試される一大イベント。その賞金が一億円とか、とんでもない方向から一気に借金返済のチャンスがやってきましたよ、と。この辺りからお話は一気に収束に向かっているというか、天自身の強運があれよあれよという間に決勝戦まで彼を導いていくというか。まぁ、そんな感じの展開。ラストはさすがの、そこまで幸運は続かないかと思ったら、トーナメント後のオチがさらにご都合めいていたりして苦笑。

あれだけ、身内から駄目だ駄目だといわれた、天の父親の成功とか。それこそ、いまになって幸運が訪れるのなら、なんで家庭が壊れる前に、そういう救いがなかったのか突っ込みたいのはやまやまなんですが、大団円迎えちゃったから、野暮というものでしょうか。親子のわだかまりとか、掘り下げられる要素は多かったのに、あっさりと片付けてしまったのが残念。そういう意味で、一気に借金返済、そして千早ちゃんと結ばれるという、最大の目的達成まで1冊で済ませてしまう駆け足さが大きく引っかかってしまいましたね。

トーナメントのバトルとか、そんなのどうでも良くて、天と千早ちゃんのいちゃいちゃ具合をもっと見ていたかったなあと、そんな風に思っちゃいますね。前巻では過剰に過ぎたお色気方面も、かなりおとなしめになってしまっていて、いろいろな意味でパワーダウンしてしまった完結巻だったなあという印象です。

hReview by ゆーいち , 2010/04/23

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ラッキーメイド天くん~お嬢様学校へ行こう!~ (HJ文庫)
わかつきひかる
ホビージャパン 2010-04-01
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