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百億の星にリリスは祈り―黄昏色の詠使い〈8〉

stars ……ずっと怖かったの。わたしの気持ちがなんなのかって。

ミクヴァ鱗片を巡る争いの最中、ネイトはついにシャオと出会う。シャオは問う、名詠門チャネルの先に何があるのか、と。シャオは語る、名詠式に、セラフェノ音語に、そして世界に隠された真実を。クルーエルは知る、自らとアマリリスの存在の意味を。そして、決断する自分が何を望み、何を願い、どこへ行くべきかを。

思わせぶりにこれまで断片的に語られてきた、この世界の秘密が一気に明かされていきます。前巻で、ミクヴァ鱗片を巡る、シャオ一派と、イ短調・ネイトらの対決の構図が示されて、いざ激突! かと思いきや、そこから延々と解説モードに入るのはさすがに微妙かとは思いましたが。

ということで、そんな設定解説編が前半の大半を占めているので、実際に物語が動くのは後半からという形になります。

大きな見せ場はやはりオシリスとファウマの対決ですかね。直接ミクヴァ鱗片を確保すべく競闘場に赴いた競闘場の覇者であるオシリスを待ち受けていたのは少女然としたファウマ。どちらも超絶的な実力者であることから、その戦いは苛烈を極めるインフレぶりですが、その決着は意外な形に。互いの認識していた勝利の形が違ったことによる、痛み分けみたいな結末でしたが、むしろこの戦いを彩ったのは、加勢することもなく、オシリスの戦いを見守り続けたシャンテの思いだったのかも知れませんね。オシリスとファウマによって、自らの在り様を良くも悪くも変えられてしまった彼女だからこその内面の描写が良かったですねえ。

他方で展開していたエイダやレフィスの戦いも、それなりに見せ場はありつつも勝負はおあずけ状態? 相手に一枚上を行かれてしまった形になってますが、これはもう相手が悪かったとしかいえないような……。内面が未成熟な少年や少女らしいあしらわれ方でしたしね。

そして、物語の、世界の中心にいるクルーエルはその場から動くこともできず、最後の最後で自分の気持ちをようやく自覚します。それは、シャオと話し、世界の真実を知ったネイトも同様で、シャオの望みが叶った結果もたらされる世界が、優しく穏やかであろうとも、すべてをなかったことにするという、どうしても認めることができない結果に立ち向かうことを選ぶわけで。

しかし、シャオは世界に生きる人間を愛する意志法則体と同様に、確信的に平和な未来を作るために、今の悲劇と犠牲を肯定して行動してるなあ。ある種の狂信的な行動に思えてしまいますが、やはり世界の根幹に在るものの影響なんでしょうかね。そういった意味では、やはり対極的な立ち位置のネイトとシャオの決着の形が気になりますね。

次がクライマックス、そして物語の一つの区切りがあと2話ってことは10巻で完結なんでしょうか? まだまだ続けられそうな話ですが、とりあえず、今回のエピソードの結末を描く、次のお話を楽しみに待ちたいです。

hReview by ゆーいち , 2009/01/03

緋弾のアリア〈2〉燃える銀氷

stars 私も、私も、キンちゃんと一緒に暮らすぅー!

晴れて(?)、アリアのパートナーとなったキンジと彼女に課せられた今回の使命は、キンジの幼なじみでもある武装巫女・星伽白雪のボディーガード。超能力を持つ武偵――超偵ばかりを狙う、魔剣デュランダルと呼ばれる誘拐魔から守るというミッションは、その存在を疑問視するキンジと、確信するアリアの間に生まれた不和から危うくなっていって……。

ヤンデレ巫女降臨!

その素質は前巻から十分に感じていましたが、アリアと同居を始めたキンジの部屋を強襲して、アリアと殴り合うとかどんな展開だい(笑) ヤンデレモード全開な彼女をイラストでも見てみたかったけれど、可愛い部分しかなかったのが残念ですね。

そんな感じで、今回は、戦う巫女さんにして、キンジの幼なじみ白雪さんの真価が問われるエピソード。星伽という家と使命に縛られ、籠の中の鳥だった彼女の、檻を開けてくれたキンジという存在を、精一杯全肯定してくれる彼女の健気さと一途さに心打たれるか、あるいは重いと感じるかはひとそれぞれ。当のキンジは、そんなこと当たり前にこなしてみせて、ヒステリアモードにならなくても十分フラグ立ててくれやがりますが、鈍感さだけはノーマルモードでも筋金入り、知らず知らず心をこれでもかと鷲づかみにして、アリアに続いて攻略完了? みたいな。

そんな白雪の背景は結構重いもののはずなのに、割とあっさりと彼女自身が吹っ切ってくれたなあという感じ。もっとも、彼女には現在進行形で『家』に縛られ続けていて、アリアと同じようにそれがまた、彼女の重しとなる可能性はなきにしもあらずですが、キンジのそばに居る限り無敵っぽいしなあ……。このパーティ、巻を追う毎に戦力が強化されていくんじゃないですか? 次はデレる姿が想像できないレキさんの番?

その前に、隠れキャラルートに入りそうな雰囲気ですが。エピローグに登場したにくいあんちくしょうの姦計にハマりそうなキンジ。このままアレな雰囲気に流されてどこまで行ってしまうのかー!? 割とラブコメ寄りになってきましたが、キンジの信念とか、アリアの目的とか、忘れちゃ、ダメですよ?

hReview by ゆーいち , 2009/01/02

緋弾のアリア〈2〉燃える銀氷
緋弾のアリア〈2〉燃える銀氷(ダイヤモンドダスト) (MF文庫J)
赤松 中学
メディアファクトリー 2008-12

迷い猫オーバーラン!〈2〉 拾わせてあげてもいいわよ!?

stars 俺たちはあそこで、迷わず安心して暮らすことを覚えた。だから、大切なんだ。

学園長の孫にして梅ノ森学園の実質的な最高権力者・梅ノ森千世は苛立っていた。彼女が作ったサークルが、他の参加者にないがしろにされていることに。特に、都築巧が、『ストレイキャッツ』の手伝いを優先して、自分を構ってくれないことに。自分を最優先してほしい、そんな子どもじみたわがままが、夏祭りを控え賑やかさを増していく商店街に、とんでもない事態を引き起こしていって……。

新たな迷い猫がやって来た!?

こう、お金持ちのお嬢さまの、何もかもに不自由しない傲慢さゆえの勘違いと残酷さというのは、ときとして堪えるものがありますね。

今回、物語の中心となった千世は、まさにそんなお嬢さまで、あらゆるわがままを許されてきたから、巧たちの気持ちに気付かない、そして、自分の気持ちをどう「仲間」に伝えてやればいいのかも分からない。そんな難儀な女の子です。

そこに、さらに千世の友人で、さらに純粋培養な竹馬園夏帆嬢が要らぬお世話を焼いたおかげで、事態がさらにこんがらがって大変なことに。この夏帆嬢、なんとも自然に、彼女より下層なひとたちを見下して、自分の善意が何の疑問もなく受け入れられるものだと確信して行動しているからタチが悪い。一方で、千世を助けるふりをして、彼女が悩んでいる様を見ることを喜んでいるようなフシもあって、実は黒いんじゃないかとか思ってしまうキャラですね。最後のアレも、巧に対しては最上級の嫌がらせになったし、そんな他人の混乱ぶりを眺めるのを心の底で楽しんでいるんじゃないかって……恐ろしい娘っ!

そんなセレブな価値観を振り回し、上位者である傲慢さでほどこしを与えるがごとく巧や文乃、希に接してくる千世は、中盤まで正直うざいと思ってしまうのですが、彼女には彼女なりの価値観と正義でもって動いていて、彼女が心の中で思い描いていた楽しい未来は、それが叶わぬものとすぐに分かってしまうようなものだけに、だんだんとかわいそうに思えてしまったり。

巧が言ったように、今回の物語のトラブルは、本当にささいなすれ違いが巻き起こしてしまったもので、巧がストレイキャッツを大切に思っているように、千世にとっても、彼女と、彼女の仲間を含めたサークルは大切なものだったわけで。それを、お互いにちゃんとわかり合えず、お互いの大切なものを軽んじてしまったことで起きてしまった騒動でしたね。

千世が求めていたのは、容れ物としてのサークルなんかじゃなくて、彼女と仲間にとっての共有できる大切な何かだったという、そんなお話。傲慢で高飛車で傍若無人なお嬢さまも、迷い迷ってストレイキャッツに居着いて、ますます賑やかになるお店の未来は果たしてどうなることやら。

そんな風に、巧の周囲がだんだんとハーレム化していく中で、一番心穏やかでないのは、やっぱり文乃。彼女の前巻での告白を、巧自身もしっかりと受け止められていないというかなんというか、自分の気持ちを素直に表現できない、これまた難儀な文乃が、巧からの行動を待っているっていうことに、気付けない鈍感主人公はこれからも彼女に殴られ蹴られしていくんでしょうね。けれど、何もかもを正反対に表現する文乃が、そんな暴力を振るってくるってことは、本当は何をしてほしいか、長い付き合いの彼に分からないわけないんじゃないんでしょうかね? そんな気まぐれな猫さんを、ちゃんと家に迎え入れ、新しい家族の関係を築けるようになるには、まだまだ険しい道のりのようですね。

hReview by ゆーいち , 2009/01/01

SH@PPLE〈4〉

stars 良いものを見て良いと言えなくなってしまったら、それは私の心の終わりです。勝利も意味もなくなります。

人力リバーフェスタに向けて特訓中の空船五中生徒会 & SEC + 清美女学院ソロリティ。話の流れ的に、青美の生徒会と部活連合と対決することになってしまったけれど、猛特訓のおかげか、なんとか少しは勝負になりそうな感じ。けれど、雪国には、彼の正体を知り、脅しのような形でその事実を突きつけてくる「X 氏」の存在が気になって気になって……。

恋ごころ百花繚乱!

雪国サイドも舞姫サイドも、今回のエピソードで一気に人間関係が混沌としてきているような。舞姫サイドは、今まで SEC の兄貴分として活躍してきた舞姫に対して、会長とかが真剣に向かい合おうとしてみたりして、こちらの方でも想い想われややこしい事態になってきてますね。まぁ、当の舞姫自身が、自分が SEC に居ることによって感じる心地好さの正体と、SEC メンバーたちが彼女に対して向ける気持ちのギャップに気付こうともしていないので、逆にどちらかが一歩を踏み出したときに、この関係がどんな風に転がっていくのか、気になるところであります。

そして、人力リバーフェスタに向かって活動してきた五中と青美の皆の背後で、雪国の正体をばらそうと脅しをかけてきた X 氏の正体は結構意外。いや、ちゃんと伏線張ってたし、でもなぁ、とか思っていたらそのものずばりで来るんだもんなあ。プロローグとエピローグの構成も巧くて、だからこそ、「彼女」の「彼女」に対する情の深さと、存在の大きさが感じられたわけでもあります。そんな彼女の、今回の騒動の収拾のさせ方は、とてもらしい感じではありますが、ここでも今まで築いてきた関係から、一歩踏み出してきた、その事実が今後の展開の布石になったりするんでしょうかね。誰もが同じ立ち位置のままで、気持ちの好いままではいられない、そんな象徴に思えたりします。

さて、一方の雪国サイドでは、鳥子さんの猛攻勢がとても素晴らしい感じ。だからこそ、逆に、その想いから目を背けようとする雪国のずるさい、あるいは一駿河さんへの一途さが残酷に見えたりします。雪国祖母の応援を受けつつ、今回望んだ一大イベントも、そんな鳥子さんの本懐を遂げる以前に青美内部の思惑のぶつかり合いに巻き込まれてめちゃくちゃにされてみたり、なんだか散々な結果になってしまいましたが、最後の最後で距離を縮められたのかなあ? 一方の一駿河さんとの関係は、微妙にぎくしゃくしてきてますが、彼女の反応が雪国に対する拒絶から来るものなのか、あるいは……というのも、また今後の大きな見所でありますね。

もっとも、秘密の入れ替わり学校生活が今後も延々と続いていくとすると、それは雪国が重ねる嘘がどんどん積み上がっていくことでもあるわけで、そういった意味では何重にもややこしい状況にがんじがらめになりつつあるのかも。彼の周りを囲んでいる、一方通行な想いの向かう先に、誰が居るのか、その答えが出るには、まだまだ時間がかかりそうですね。

hReview by ゆーいち , 2008/12/30

H+P(2) ―ひめぱら―

stars もっといろんなところを……触って欲しいですわ……。いっぱい気持ちよくしてくださいまし……。

なかなか「お世継ぎ」づくりに真剣になってくれない恭太郎に業を煮やした第三王女エリスは、ピコルの口車に乗って恭太郎を南のリゾート地・キュアナへと連れ立つ。そこには、その気にならない王仕さまを、その気にさせるとあるアイテムがあるんだとか? 一方、英雄ガイルーンにあこがれるユフィナは、キュアナの地を彼が訪れているという情報に胸を躍らせていて……。

人前でページをめくるな超危険!!

えー、ナニコレ。カラー口絵の1枚目からエロス全開で突っ走ってくれやがってます。うっかり書店とかでもここを開いてしまったら、慌てて閉じてしまうこと請け合いな過激さでありますよ。

そんな感じで、ライトなえっちさの限界を極めるべく突き進むハーレムラブコメな第2巻。今回は、第二王女・レイシアと、第三王女・エリスの、恭太郎攻略戦でございます。

身持ちが堅く、思春期の青少年にしては強靱な精神力を修行によって兼ね備えている恭太郎とて、トレクワーズの五美姫とまで称されるお年頃な女の子のあの手この手の積極アピールにはたじたじ。なんか、もう2巻にして理性の箍が緩みまくりで……いや、1巻ですでにケダモノと化したりしてますが、あるいは、このお話はどうやって恭太郎が理性を保つことで寸止めさせるか、そんなところを見所にしても良いのかもしれませんね。

いや、本音としてはいっちゃえよ、やっちゃえよ、なんですががが(笑)

物語本筋としては、やはり第1王女であり、メインヒロインぽいユフィナと、恭太郎の間に芽生えている、恋ごころ未満の感情がどう育っていくか、というところなんでしょうけれど、5姉妹のうちまだ見せ場のないアルトやメルルが次巻あたり攻勢に転じそうですね。分かりやすいアイテムもアルトの手に入りましたし、奥手っぽい彼女が、うっかりとどんな暴走を見せてくれるのか、期待したいですね。主に性的な意味で。

まぁ、敵方も存在するには存在してますが、この割とあっさり撤退模様を見ていると、トレクワーズ王国の危機なんてのは、意外に簡単に解決してくれそうな気がします。むしろ、カルタギア帝国王・カリギュラも恭太郎争奪戦に参加して、ハーレム具合がさらに加速するだけなんじゃないのかなあ。

hReview by ゆーいち , 2008/12/30

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