Fate/Zero〈3〉-散りゆく者たち-

2008年8月5日

stars ついに振り抜かれる黄金の剣! クライマックス目前!

キャスター・青髭ことジル・ド・レェと、そのマスター・雨生龍之介を討つために、変則的な展開を見せる聖杯戦争。ついに──あるいは、ようやく──ぶち切れたこのコンビが大暴れする第3巻。

いじめられまくりで、王としての威厳も、最優のサーヴァントとしての貫禄もイマイチ感じられない我らがセイバーさんもようやく見せ場が訪れたといったところ。本編同様、彼女の象徴でもある黄金の剣の真価がついに発揮。面目躍如です。
そして、セイバーのマスター、正義の味方のなり損ない・衛宮切嗣も、その「魔術師殺し」の二つ名の神髄をいかんなく発揮。まさに外道。

だんだんと繋がってくる、Fate 本編との物語の糸。なんとも見事な構成。だけれども、前巻の盛り上がりに比べれば、なんとなく淡々と進んだ印象も。いや、ほぼ全編バトルで、燃え要素満載のはずなのに、インパクト不足に感じてしまうのは、ライダー・イスカンダルの豪放さが抑えめになっているからなのかも。というか、この作品の主人公が誰なのか分からなくなってくる(笑)

ついに退場者を出した聖杯戦争も中盤を過ぎ、パワーバランスが崩れて一気に淘汰が進みそう。
父としての優しさを上手く見せきれなかった遠坂時臣の、別れのセリフは死亡フラグですから! でも、これまで姑息に映っていた彼の行動についても、今回のエピソードを読むとまた別の意味にも取れてくるなあ。

そして、ランサーのサーヴァントといいうのはどこまでも報われない存在なのか。意外な結末により退場してしまった彼の無念さは察するに余りあるもので、良い主に恵まれなかったことも含めて、今回最も不遇なキャラだったように思いますね。

未だ正体不明のバーサーカーも、セイバーとはただならぬ因縁を感じさせますが、残り4組に減ったバトルロイヤルもあと1巻。ラストバトルはセイバーとギルガメッシュの対決でほぼ確定でしょうが、その前哨戦でもある、対イスカンダル、対バーサーカーというふたつの難敵が、どういった活躍を見せるのか。決着は冬までお預けなのがまたもどかしい。

hReview by ゆーいち , 2007/07/27

Fate/Zero〈3〉-散りゆく者たち-

Fate/Zero〈3〉-散りゆく者たち-
虚淵玄
Nitroplus/TYPE-MOON 2007-07-27