剣の女王と烙印の仔〈2〉

このページは約 3分32秒で読めます。

stars 命運がなんだ。神々なんて勝手に喰らい合って勝手に滅びろ。わたしもシルヴィアも、クリスも、そんなものに踏みつけられるために生まれてきたわけじゃない。

ミネルヴァの妹にして託宣女王であるシルヴィアのもとに守護騎士としてジュリオという少年が遣わされる。孤立したままのシルヴィアの心を、誠実な騎士たらんとするジュリオの言葉が少しずつ溶かしていく。一方、銀卵騎士団を率いるフランチェスカは大教会奪還のため、少数による出陣を決断する。しかし、迫る戦いの緊張の中、クリスに刻まれた刻印は新月を待たず牙を剥く。クリスの耳に届く声、そして、彼が持つ刻印に宿る何かの正体とは……?

なんだかスゴい勢いで風呂敷が広げられたかと思ったら、一気に畳まれそうな雰囲気?

クリスの出生の秘密だとか、彼が持つしるしの意味だとかが明かされて、明確に打倒すべき対象も見え、いきなり決戦とかそんな展開。

クリスにしろ、ミネルヴァにしろ、シルヴィアにしろ、彼らに与えられた力は、彼らが望んで手に入れたものではなく、むしろ、その力のせいで彼らは平穏という、今や望んでも決して手に入れられないものを代償として差しだしてしまったかのようです。そして、彼らに力を与えるという神々は、しかし、人間たちの、聖王国の上位にあるこれまた力を授かった者たちからすれば、自らを脅威にさらす存在として認識されている始末。そんな道具として扱われる運命を強制されてしまった彼らの運命は、その運命を喰らうクリスの刻印の力によって大きな交わりを迎えようとしているようです。

ミネルヴァを支えるのがクリスならば、対照的に登場したシルヴィアの守護騎士となったジュリオ。シルヴィアに対するこの上ない忠誠心によって、クリス打倒を決心した彼の変心は未だ成されず、その運命に抗う術は未だ見えず。クリスのような刻印の力を持たず、ただひとりきりのシルヴィアを救おうとするジュリオの運命もまた、今回の戦いとクリスとの邂逅によってどう歪んでいくのでしょうか? ミネルヴァとシルヴィアに託宣される自らの死の悪夢、ふたりが殺害されるという呪わしい未来を変えられるのか、それはこの世界に根付いている大きなシステムの打倒に繋がるわけですが、その大きな歴史のうねりをクリスは、ミネルヴァは、そして窮地に晒されているフランチェスカは起こすことができるのでしょうか?

終盤、その才によって奇跡的ともいえる大勝利を収めたかと思ったら、その余韻さめやらぬままに訪れるさらなる危機。自らの内に抱える獣の声に怯えながらも、支え、支えてくれるパートナーたるミネルヴァとともに生きる覚悟を決めたクリス。その意志がこれまでのように獣を御し、そしてこれからのためにその力を振るう強き手綱となれば、そこに得るべき未来があるのではないかと思います。

割と容赦ない展開のはずなんですが、そこまで悲壮感がないのが奇妙な感じですね。杉井光フォーマットなキャラ配置とかでラブ分とかを適度に投入してるから、鬱方面に突っ走らないで済んでいるのかも? まぁ、素直になれないミネルヴァは分かりやすくて可愛いわけですが。もっと赤面させてくれ!

hReview by ゆーいち , 2009/07/26

剣の女王と烙印の仔 2

剣の女王と烙印の仔 2 (MF文庫 J す 3-2)
杉井 光
メディアファクトリー 2009-07
Amazon | bk1
スポンサーリンク

Trackback URL

No Trackback to 剣の女王と烙印の仔〈2〉

Still quiet here.

Comments are closed.